736.第4層へ
休憩が終わり、そのままキノコの庭園を進む。途中、何回かキノコの魔物と遭遇したが瞬殺して終わった。
「ぴよ……!」(これはもうテイスティングした……!)
「ぴよっぴ!」(ならこれは置いておいて前進だ!)
コカトリスはすでに口にしたキノコにはさしたる興味を示さない。リピートするほどのモノはなかった、ということなのだろう……。
「意外だな、コカトリスはあまりキノコを好まないのか……?」
俺の疑問にステラが答えてくれる。
「わたしたちも、それほどキノコを生で食べるわけではありませんし……」
「確かに、それもそうだな」
野菜や果物とは違い、やはりキノコを生食する機会はとても少ない。焼いたり煮たりすればおいしくても、生ではイマイチなキノコも多いしな。ボムマッシュルームもその典型だ。
そんなことを話していると、第4層へのゲートに辿り着いた。見た目はこれまでと変わらない。枯れた植物のアーチに囲まれ、バチバチとゲートに魔力がみなぎっている。
ここから先が第4層、氷雪の滝だ。
「よし、行こう……!」
ごくりと息を呑みこみ、ゲートをくぐる。
そこは雪が降る、凍てついた世界だった。視界は悪くないが、とにかく何もかもが白い。果てしなく、どこまでも雪に覆われている。
空も白く、その向こうには巨大な山が見える。この山は第4層の中央に常に存在するという。それ以外、第4層は単なる起伏があるだけ……らしい。
「すごぴよーー!!」
「わふー。白いんだぞ!」
俺の着ぐるみの中でディアとマルコシアスが大興奮している。ふたりは前に北の地へと行ったが、雪や氷を見るのは久しぶりだ。
「ふぅ、ここは変わりありませんね……」
ステラが感慨深そうに呟く。ここまで潜る冒険者は希少だというしな。
「レイアはそれで寒くありませんか?」
「大丈夫です! ほかほか魔法具を下に着込んでいますので!」
でんとレイアが胸を張る。確かに微弱な魔力を感じる……。カイロみたいなものか。
「ここには初めて来たけど、故郷を思い出すね」
ナナがぺたぺたと足元の雪を踏んでいる。
「雪質はさらさらの極上か……」
「スキーやスノボーはやらないぞ……?」
「大丈夫、さすがにそこまでは遊ばないから」
そしてコカトリスたちは……。
「ぴよ……」(ちょっとだけ……)
「ぴよぴよ」(しゃくしゃく……)
予想通り、コカトリスたちは良さげな雪を食べていた。
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