720.ダンジョンへ
俺たちはホテルを出て、レイア&ナナと合流した。……ちなみに俺はすでにぴよ着ぐるみを着込んでいる。
「おはようございます!」
「おはよ〜」
レイアとナナも普段通りだな。ホテルの別室で就寝していたコカトリスたちも元気いっぱいだ。
「ぴよ!」(しゃっきり!)
「ぴよよー!」(今日は運動の日! れっつダイエット!)
コカトリスたちは羽をバタバタさせている。
うん、見るからに絶好調だ。
「さて、それではさっそくダンジョンに向かいますか?」
「ああ、案内を頼む」
とことこと俺たちはザンザスの中心部へと移動する。壁に囲まれた、物々しい一角。そこがザンザスのダンジョンへの入り口だ。
「おお、パンフレットの絵の通りだな……」
「ぴよー。ここがダンジョンの入り口ぴよね!」
「やっぱり他のダンジョンと似てるんだぞ」
木でできたアーチ状の門、その向こうがザンザスのダンジョンである。ここの周囲には常に人がおり、不測の事態に備えている。
にしても、凄まじい魔力だな。あの壁を超えてからというもの、門からの魔力が俺を包む。しかし、不快感はない。例えるなら暖かい日差しを受けているようなものだ。
「今はツアー客もいません。最短距離で第2層まで行けるかと……!」
「それはありがたい」
俺は他のみんなを見渡す。ダンジョンにはいくつも入ったことがあるが、少しだけ緊張するな。
「行こうか」
「れっつごーぴよー!!」
俺たちは門をくぐり、ザンザスのダンジョンへと入った――が、そのダンジョンへと入った瞬間、目の前にふわもっこな物体が視界を塞いだ。
「な……?」
門の向こう側、ぎりぎりにコカトリスがいる……?
「すやー、ぴよー……すやー、ぴよー……」
ものすごい邪魔な位置に、ザンザスのコカトリスが寝ていたのであった。
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