715.冒険者ギルド
俺たちはそのままザンザスの大通りを歩いていき、冒険者ギルドに到着した。
「ここがザンザスの冒険者ギルドか……」
ちょっと感慨深いな。
いくつもの石造りの建物、古風なレリーフの数々。ペンキは塗り替えられているため、きれいではあるが年代を強く感じさせる。
レイアがおずおずと解説する。
「増改築を繰り返しているので、全体のまとまりは少々難がありますが……」
「何百年も街の発展とともに拡張すればな。仕方のないことだ」
全体もかなり大きい。ヒールベリーの村の冒険者ギルドと比べて何倍もの床面積がありそうだ。
ディアとマルコシアスもふぁーと見上げている。
「ぴよー。なんかゴツゴツぴよね」
「魔力の護りを感じるんだぞ」
「元々、ザンザスの冒険者ギルドは要塞としても設計されました。冒険者の本拠地たるこの建物が防衛線になるように……!」
そこでナナが羽をぴこぴこさせる。
「まぁ、かなり建材も強固なのを使ってるよ。ちょっと奮発しすぎかもだけど……」
「……建築されてから、一度もここで戦いは起きていないですからね」
「よかったけど、むなしみぴよ」
「備えあれば憂いなしだぞ」
「はっ! そうぴよ! これも学びぴよ!」
ふむ……しかし前にレイアは、この建物をコカトリスの形にリニューアルしようとしたと聞いたが……。
「さぁ、どうぞ中へ!」
レイアに先導され、俺たちは冒険者ギルドの中へと入る。そこはきらびやかなラウンジになっており、一流ホテルのような風格と気品に満ちていた。もちろん、ところどころにステラやコカトリスを模したアイテムもある。
調度品も黒檀や大理石で作られていて、床も天井も顔が映りそうなほど磨き上げられているな。
ラウンジの横には冒険者ギルド併設の酒場がある。だが、ここも粗野な雰囲気ではない。むしろお洒落なカフェだ。
明らかに冒険者風の人間もいれば、街の上流層だろうか。ぴしっと服装をきめた人間も少なくない。
しかし驚くべきは冒険者ギルドの受付の向こう、ずっと奥まで業務エリアになっていることだ。あそこで働いている人数は……ヒールベリーの村の冒険者ギルドのざっと10倍くらいだろうか?
「うーむ、すごいな……」
さすがはこの地域でも随一の交易都市、その冒険者ギルドだ。
「おっと、2階に街の代表者が待っているんだったな」
「ええ、今回のご訪問を楽しみにしておりました。議会からも代表団が来ておりますので」
まぁ、これは挨拶だけだ。それほど長い時間をかけるつもりはない。
「もちろんぴよちゃんのお昼寝スペースもありますので……!」
「ありがとう、コカトリスにとって懇親会は退屈だろうしな……」
コカトリスたちがお昼寝をしている間、俺たちは懇親会――という流れなのだ。
ステラが優しく微笑む。
「疲れたら言ってくださいね」
「ぴよ! ご挨拶がんばるぴよ!」
「まだまだ眠くないんだぞ!」
これも経験だ。今日は多くを学ぶ日になるだろう。
マルちゃんより。懇親会はカットするんだぞ(。•̀ᴗ-)✧
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