711.お土産コーナー
ぴよグッズの歴史コーナーは着ぐるみ以外にもぬいぐるみ、扇(黄色く着色した羊毛を使っている)等が飾ってあった。
とはいえ、やはり着ぐるみが一番のインパクトであるのは確実だ。まぁ、他は手に持てるサイズのものばかりだからな。
「ぴよよー。いっぱいグッズがあるぴよねー」
「わふー。村のお土産屋さんにはないモノもたっくさんあるんだぞ」
「確か別館は丸々お土産コーナーじゃなかったか?」
事前に渡されたザンザスの観光地図では、そんなふうになっていたはずだ。
「ウゴ、この本館の後ろに大きなお土産屋さんがあるよ!」
……つまり博物館を見終わったところにお土産コーナーがあるわけだ。しっかりしている。
レイアがナナの羽をきゅむっと握る。
「この博物館全体もそうですが、ナナのおかげでかなり利益が増えましたからね」
ステラが首を傾げた。
「そうだったんですね……。なんだかブースのガラスや照明が前と違う気はしてましたが」
「そうそう。汚れにくいガラスやより明るくて手入れしやすい照明を導入したんだ」
ぴこぴことナナがガラスや照明を羽で示す。彼女はなんだかんだ、ザンザスにも相当な回数行っているからな。そこで手伝いをしてきたのだろう。
レイアがうんうんと頷く。
「この博物館も老朽化しています。施設全体の管理コストの削減は、まさに利益に直結するのです」
この世界では大都市に限るが、魔力による電力や水道、工業が当たり前になっている。その分野ならまさにナナの専門だろう。
そして俺たちは博物館のお土産コーナーも見て回った。予想通りというか、もふもふコカトリスグッズと野ボール用品、あとはステラグッズだな……。
「なにか欲しいものはあるか?」
お腹のポケットに入ったディアとマルコシアスが日用品グッズのほうをぴっと指し示す。
「ぴよー……あの羽ペンがいいぴよ!」
「わっふ。我はあのブラシがいいんだぞ」
なんだか欲がないというか……。
もっと高そうなモノは色々とあるのだが。
と、そこでディアがふにふにとマルコシアスと話している。
「ここにある野ボールグッズはデカすぎるんだぞ」
「合わないぴよね。とうさまに作ってもらったほうがいいぴよ」
「かあさまのグッズは……」
「欲しくなったら、かあさまにお願いするぴよ」
「だぞだぞ」
なるほど、そうなるか……。
いっぽう、コカトリスたちはお菓子コーナーに釘付けになっていた。紙の箱を穴が空きそうなほど見つめ……。
「ぴよ」(おいしそうな雰囲気がする)
「ぴよよ……!」(こっちはお肉が入ってそうだからパス……!)
「ぴよっぴ」(これは完璧に植物のみ! 匂いでわかる!)
ダイエットで来た気もするが、コカトリスの欲求は食欲とダイエット欲を激しく行き来する。
とはいえ俺もあまり食べたことのないお菓子がちらほらとあるな。
「ふむ……この辺にあるのを大体くれ」
「わかりました、お包みします!」
ということで、俺たちは博物館を後にした。
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