700.着ぐるみ出発
そしてザンザス4層へ向かう日がやってきた。天気は快晴、絶好の出発日和である。
村の入り口には今回の旅の面々が集まっていた。俺、ステラ、ウッド、ディア、マルコシアス……それにナナ、コカトリスたち。
「ぴよー」(そろそろ旅行の時間だー)
「ぴよよ」(雪っておいしいのかな)
「ぴよ」(5段階評価で3.5くらいだよ)
……緊張している俺たちに比べ、コカトリスはリラックスしながらぴよぴよしていた。
レイアはザンザスで物資を用意し、我々を待っている。
「いってらっしゃいませにゃー!」
「「にゃー!」」
「いってらっしゃいませー!」
「ああ、いってくる」
ナールとアナリア、ニャフ族が手を振っている。テテトカたちも見送りに来ていた。
「気をつけてー」
「ウゴ、気をつける!」
「帰りを待ってますです!」
ララトマは不安そうには見えない。ウッドや俺たちを信頼してくれているようだな。
ということで別れを告げて、俺たちはばびゅーんの態勢に入る。ヒールベリーの村からザンザスまでなら、何度も往復して運べばすぐだ。
「それじゃ、ばびゅーんなんだぞー!」
マルコシアスとナナのパワーで俺たちはばびゅーんっとザンザスの近くへ飛んでいく。これにももう、慣れたものだ。
……そしてザンザスの郊外に着地する。ここまではもっと遠いところにまで行ったこともあるし、順調そのものだ。
「ふむ……」
俺は着ぐるみの手をぴょこぴょこ動かしてみる。
「大丈夫ですか?」
「ああ、心配ない。まさか俺がこの姿だとは、ザンザスの市民や通りがかりの商人も思わないだろう」
「この戦力ならさくっと終わると思います。油断さえしなければ」
「そうだな……」
そう、何も問題はないはずだ。すでに6層まで行った経験のあるステラもいるし、一流冒険者のナナもいる。
危険はない。
これから俺が着ぐるみのまま、千年間攻略されていないダンジョン(世界でもっとも危険なダンジョンランキングトップ5)に潜ったとしても……!
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