697.特別編・マルちゃんの部屋サードシーズン
今回は特別編なんだぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧
その日の夜――ナナは不思議な夢を見ていた。
爽やかな草原にソファーがあり、いつの間にかそこに自分が座っているのだ。着ぐるみはもちろんない。
日光の下で着ぐるみがないとは、まさしく夢に他ならなかった。風が優しく眠気を誘う。
「あー、これは……」
「「ぴよよー」」
「むっぎゅ」
ナナの両隣にはコカトリス姉妹がいた。
( ╹▽╹ )✧\(>o<)ノ✧( ╹▽╹ )
ぎゅむっとナナはサンドイッチになっている。
みっちみちである。
「ぴよ!」(いぇい!)
「ぴよっぴ!」(これは……マルちゃん時空!)
「ぴよよ!」(ほんのり覚えてる、妹よ!)
「ぴよよっ!」(またこの空間だ!)
るーるる、るるる、るーるる。
謎の音楽が草原に鳴り響く。
……ひょっこり。
いつの間にか、ソファーの前にはふかふかの椅子があった。
そこにはふもっとした子犬姿のマルコシアスがいる。
「なんだ、この夢は……」
「マルちゃん時空なんだぞ」
「得体のしれない存在だとは、ちょっぴり思ってたけど……」
「思われてたんだぞ」
「大半の村人は魔力の感知力が弱いからね。それに魔力の質についての知識もない。でも僕は……なんとなく、君の魔力が他のどんな存在よりも異質だと思ってた」
そこでナナは軽く頷いた。首を振りたかったが、みっちみちなので無理なのだ。
「危険だとは思わなかったんだぞ」
「もしそうなら、ステラが君を放置しないはずだけど……。というか異質なだけで、魔力量自体は相当弱いし……」
「賢明な判断なんだぞ」
ふもふも。マルコシアスが相槌を打つ。
「ぴよよ」(なんだか難しい話をしてる……)
「ぴよ」(夢の中だけど眠くなってきた)
「……これも君がやってるの? うーん、この空間そのものに作用してるのか」
「話が早くて助かるんだぞ」
「でもこれって、そんな長時間はできないよね? 僕に良い影響があるとも思えないんだけど」
「ぴよ?」(そこ、深く考えちゃう?)
「ぴよよ……!」(こやつ……賢い!)
「用法容量、制限時間。トマトも適量なら最高の食べ物なんだぞ」
「うーん……確かに……」
「ぴよ!?」(納得しかけてる!?)
「ぴよっ!」(トマトの例えに弱すぎっ!)
そこでナナはじっとマルコシアスを見つめる。
「で、僕をここに呼んだのは?」
「ゲームをやって欲しいんだぞ。勝てば景品なんだぞ」
「ふぅーん……どんなゲーム?」
そこでマルコシアスは脚をふもっとあげた。
「暗算だぞ」
「ぴよー!?」(マジー!?)
「ぴよよ……」(これは激闘の予感……)
「いやいやいや、さすがに僕が頭脳戦で負けるはずが……」
「ぴっぴよ!」(3753✕2941は!?)
「11037573……」
「ぴよ!」(11037573!)
「……マジで?」
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