679.ザンザスへの気持ち
「あのぴよの着ぐるみは、元は寒冷地仕様ですからね。もちろんエルぴよちゃんは潜水や耐火や耐魔もばっちりですが……!」
「ウゴ! 安心、安全!」
確かにあの水に潜るのは凄い経験だったな……。
エルぴよ着ぐるみには魔力を消費することで負担を軽減する仕組みが組み込まれている。
総合的にはスキーウェアとか、そのくらいの負担で済んでいるのだ。
ちなみに魔力が切れたときは――神の慈悲に祈るべきらしい。
「ぴよ! あたしも大丈夫ぴよ!?」
「ディアはふかふかですからね……大丈夫ですよ!」
「わふ! 我はどうなんだぞ?」
マルコシアスが尻尾をぴょこっと上げる。
「……寒さ的にはどうなんだ?」
「エルぴよちゃんに格納すれば、大丈夫だと思いますが……」
「わふ! ぐっどアイデアなんだぞ!」
「その手があったか……」
「ウゴ、俺は……どうなんだろう?」
「それは安心していいぞ。ウッドの耐性はドラゴン並だからな」
今や、かなりの経験を積んだウッドは多くの耐性を獲得している。
これは成長するゴーレム全般の特徴ではあるが。
火も水も氷も魔法も恐れることはない。
「ウゴ! やったー!」
「ふむ……そうすると、家族全員で行くという選択肢もあるわけか」
「そうですね……。一度、ザンザスへ行かれるのも良いかと思いますが」
「エルぴよも慣れてきたからな」
ここらで一度、ザンザスへ直接行っておきたいのもある。
「それに氷雪の地でも植物魔法は有効だからな……」
「その場で回復と補助ができますからね」
水気のある果実を生み出せば、水筒もいらない。
もちろん食糧も生み出せばいい。
それに氷を防いだり道を作ったりする魔法も揃っている。植物魔法の補助能力は極めて高い。
それに、俺自身の中ではザンザスへ行ってみたい気持ちがかなり大きくなっていた。
ばびゅーんとザンザスへ行き、少し街を見て回って……ダンジョンへ潜って帰ってくる。
丸3日もあれば十分ではないだろうか。
それくらいなら、ちょっとした旅行くらいである。
まぁ、第4層もステラがいて装備を整えれば大丈夫だろう。数十年、重大な事故は起きていないし。
「よし……予定を確認しザンザスに行ってみるか」
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