668.ぴよよ!
「このような砂を使うのは、柔らかい綿や布が貴重だからでしょうね」
ステラが砂袋を軽く振りながら答えた。
「だろうな。しかし良い砂はある。うちらで言うところのぬいぐるみの原型のような感じで……」
「わふー。なるほどなんだぞ。ぴよぐるみに応用できるかも、なんだぞ」
「ああ、変わった切り口だが……」
「いいですね……! この揉み応えは、ぴよちゃんの背中周りを感じさせますし」
……そうなのか?
いや、ディア以外のコカトリスの背中を揉んだことはないが……。
ステラが言うのなら、きっとそうなのだろう。
しばらくすると、広場にレイアとナナが戻ってきた。
「ウゴ、レイアとナナも終わったみたい!」
「ただいまです……!」
「戻ったよー」
レイアはバッグに資料をたくさん詰め込んでいる。
それはナナも同じだが、体力の差だろうか。ナナのほうが余裕そうだな。
「ふぅ……!」
「おつかれさまぴよ!」
砂袋を持ったディアがててーっとふたりに駆け寄る。
シャカシャカシャカシャカ。
「どうぴよ!?」
「うわぁ、いい音が鳴りますね。実にいいです」
レイアがにこにこ顔で屈む。
「物産展であったのかな? まだ見てきてないけど」
「ぴよ! とうさまが買い込んでたぴよ!」
「わふー。みんなの分もあるんだぞ」
いや……全員でシャカシャカするために買ったわけではないが……。まぁいいか。
「新しいコカトリスグッズにどうかと思ってな」
「いいですね! 触り心地が……綿とはまた違います」
レイアはさっそく、ディアから砂袋を借りてシャカシャカしていた。
あとは興味を引かれた冊子の情報を交換したり……夜ご飯の時間になった。
いつの間にか砂コカトリスも目を覚まして、きょろきょろしている。
「ぴよちゃんもお腹が空いたみたいですね」
「わかりやすいな……」
もう少しでご飯も来るだろう。
またステーキサボテンが食べたいな。
そんな風に考えていたところ――砂コカトリスのリーダーがこちらに歩いてきた。
「ぴよよ!」(お願いがありまーす!)
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