666.物産展
そんなやり取りを見届けてから、俺たちはステラと合流した。
「ふぅ……! かなりの野ボール用品を手渡せましたね」
ステラは実に満足そうな表情を浮かべている。
「お疲れ様ぴよよ!」
「ウゴウゴ、ただいま!」
「わふふ。ひと回りしてきたんだぞ」
「ええ、そのようですね……!」
ウッドが持っているカバンには冊子が詰め込まれている。近くで見れば、ぱんぱんに膨らんでいるのが一目瞭然だ。
ステラは会場を見て回らない。野ボールの普及に力を尽くす……ということなのだ。
「そろそろ撤収だな」
「ぴよ。帰り始めているひとがいるぴよね」
まだ明日以降もあるので、スペースはそのままだな。俺たちも片付けは明日やればいいか……。パネルは借り物で、かさばらない紙くらいしかないし。
あとはまぁ、残った野ボール用品はナナがふたたび持って帰る。
「下の会場は物産展で、色々と売っているみたいだ。そちらに行ってみないか?」
「わふー、面白そうなんだぞ」
「ウゴ、行こう!」
「ですね。少しお腹も空きましたし……!」
「屋台もあるみたいだから、そこで食べられるな」
下の階にある物産展は、砂漠の諸国による宣伝兼商売の場だな。
要は今回集まったひとに、色々と買ってもらおうということだ。高級品もあれば屋台もあるし、お土産も充実している。
ナナとレイアはここにまだ残るということなので、俺たちは先に下の物産展に向かうことにした。
物産展もかなりの人がいるな。
がやがやと皆、品物を買っている。
「ぴよ……! サボテン串ぴよ!」
ディアがめざとく食べ物の屋台を見つけた。
ふむ、サボテンを小分けに切ってタレを絡ませた串だな。
「うまそうだな、食べようか」
「ぴよよー!」
俺たちはさっそくサボテン串を買って食べた。
あむあむ。
ステーキで食べたサボテンとは少し品種が違うかもな。
「わふ。アボカドに近いんだぞ」
「ウゴ! そうだね!」
「まったりとした味がおいしいです!」
そんな感じで見て回っていると、他では見かけない店があった。
小さな巾着袋がたくさん並んだ店だ。
看板には……よくわからん。
「砂の音袋……?」
まさか砂が入った袋を売っているのだろうか?
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