652.新しいリズム
それから地下のエルトたちは――。
「ぴよぴよぴよー!」(ぽちぽちぽちー!)
砂コカトリスがくちばしまで使って、祭壇ボタンを連打しまくっている。
ピアノに思い切り頭を近づけて弾いてる人みたいだな。
砂コカトリスの押し方に勢いはあるが、祭壇のボタンは大丈夫そうだな。かなり頑丈に作ってあるのか、意外とソフトタッチで押しているのか……。
一方、俺は植物魔法でボタンを連打していた。
ボタンを押すのに対した力は必要ない。蔓の魔法をちょいちょいと動かしながら押していくのだ。
「ぴよよ! まだまだイケるぴよよ!」
「わふわふ。楽しいんだぞ!」
ディアとマルコシアスはハイテンションで押しまくっているな。この子たちはハマると凄いからな……。
しかしこれだけ連打しても、イマイチ実感がわかない。果たしてこれでいいのだろうか……。
そこへまたもやレイアがズザーっと地下室に入ってきた。
「すみません! ボタンの連打についてですが、コカ博士から伝言です!」
「ぴよ! どんなことぴよか!?」
「えーと……リズムを変えて欲しいそうです! ダダダ……ダ……ダダ……! というように!」
「わかったぴよ!」
ディアが勢い良く羽をぴっとあげて、ステップを変化させる。
ダダダ……ダ……ダダ……!
「こんな感じぴよか!?」
ちまっとしているが、確かに変わっている!
「わふ! 出来ているんだぞ!」
「ぴよよ! ところでなんでリズムを変えるぴよ!?」
「よくわかりませんが……コカ博士が地面にめり込む勢いで言ってきたので!」
「そ、そうか……」
ま、まぁ根拠は何かあるんだろう。
「向こうの空からもうひとつの砂嵐が接近しつつあるのと、関係があると思います……!」
「それはヤバぴよね!」
ディアがステップを刻みながら答える。
器用なものだな。
「よし、わかった。俺もリズムを変えるとしよう……。ディア、砂コカトリスにも伝えてやってくれ」
「ぴよぴよぴよー!」(ぽちぽちぽちー!)
……うむ。熱心に旧リズムをやっているからな。
皆で合わせて新しいリズムを刻んでいくのだ。
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