627.クリアリング
「とは言っても、進まないと行けないよね」
ナナがライフルを取り出している。
「そうですね……。タイミングを見計らって飛び出すしかありません」
「この辺りの魔物だとどんなのがいるんだ?」
ヴィクター兄さんが腕を組んで考える。
「ウォーキングサボテン、デザートリザード、アンダースコーピオン、砂の精霊……これらがポピュラーだな」
どれも知っている魔物だな。砂漠の魔物は巨大化して、ある程度の群れを作る種が多かったはずだ。
初心者には危険な種も多かったが……まぁ、このメンバーなら大丈夫だろう。
「ウゴ! 偵察しながら進んでいく?」
「そうですね、わたしとウッドとナナが先陣で。状況を確認しながら、可能なら先手必勝です……!」
俺は留守番か。まぁ、防御力ならこの3人か。
「あっ、待ってくれ」
俺は魔法で3人の防御力を上げる。俺自身は動けなくなるが、効果は高いはずだ。
「ありがとうございます……!」
「気をつけてな」
というわけで、3人が先に上に行った。
「ぴよー。待つぴよよー」
「わっふわふ。ステイステイなんだぞー」
床に寝転がるマルコシアスのお腹をディアがさわさわしている。
そこへ砂コカトリスがワクワクした顔で近づいてくる。
「ぴよっぴよ」(あたしも揉みたい……!)
「ぴよ! マルちゃん、この子も揉みたいそうぴよよ!」
「わふー。どうぞなんだぞー」
ごろんとお腹を出すマルコシアス。
上では……物音が徐々に大きくなっているな。
声は遠いがちゃんと聞こえる。
「ウゴー! こんなに魔物がー!」
「大丈夫です! 慌てずに対処! そのサソリから……!」
「右手方向からトカゲの魔物が来るよ」
「それはわたしが対処します! ナナは後方からのサボテンを……!」
ドコドコ、バキィ!
ものすごい物音が響いてくるが……少ししてステラが声をかけてくる。
「もう大丈夫ですよ、安全を確保しました……!」
俺たちは階段を登り、ステラたちと合流する。
「大丈夫だったか?」
「ええ、無傷です……! ちょっとだけサボテンの汁がかかりましたが」
ごしごしとステラが髪を直している。
ナナがお腹のポケットからタオルを取り出した。便利である。
「はい、タオル」
「助かります……!」
これで先に進めるな。後は一気に遺跡まで飛んでいくだけだ……!
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