624.地下からレッツゴー
むくり。朝になった……?
身体を起こしても砂嵐は収まっていなかった。なので外の暗さがあまり変わらない。
まぁ、多少は暑く明るくなっただろうか。
「ふふふ、もこもこ……。砂ぴよとディア……むにゃ、むにゃ……」
ステラはうつ伏せに広がった砂コカトリスの上に乗っている。そんなステラの頭の上にディアが乗っているな……。
「かあさま……ぺちぺちぴよ……」
ディアはときおり羽を動かし、ステラの頭をぺちぺちしている。……あれで眠れるのだから、ちょっとすごいのかもしれない。
皆、徐々に起き始めてもぞもぞしている。
「はふ、はふ……」
レイアは砂ぴよの間に挟まって寝ているな。
実に幸せそうな寝顔だ……。
そんなわけで朝ご飯の時間だ。
「トマトはたくさんあるぞ」
「「ぴよよーー!!」」(やったーー!!)
もっしゃもっしゃと砂コカトリスは俺の生み出したトマトを食べている。
「ぴよ。今日の案内、よろしくぴよよ!」
「ぴよよー!」(おまかせー!)
砂コカトリスの了承も得られたし、俺たちはささっと準備をして地下通路へと向かう。
「こっちだ」
カカの案内で、地下の食料庫へ。さらに石の壁をいくつか通り抜け、地下を進む。
じっとりとしているがそれだけだな。ちゃんと真っ直ぐ石で造られた道が伸びている。向こう側は暗くて見えないが。
幅はかなり広い。大の大人、数人が手を伸ばして広がれるくらいだ。避難路として作られたから、当然かもしれないが。
「ぴよ……」(暗い……)
案内役の砂コカトリスリーダーが目を細めている。
「ぴよ! ここには明かりないぴよ。でも大丈夫ぴよねー!」
「ああ、俺の魔法もあるしな」
俺は手をかざして【月見の苔】を発動させる。通路の両脇に光る苔が生まれ、かなりの光を生み出す。
「ぴよー!」(明るくなったー!)
「やはり便利だな、エルぴよの魔法は」
ヴィクター兄さんはぴっぴよと身体をほぐしている。着ぐるみのまま。
「地図によると、この避難路はほぼ一直線に北西へと伸びている。歩いて行くのは時間の無駄だな」
「ウゴ……! 気合入れる!」
そう、時間短縮のため……俺たちはここから風魔法とばびゅーんで高速移動するのだ。
「よろしく頼むぞ。マルシスとステラ、ナナ……!」
ステラの胸元にいるマルコシアスがふにっと脚を上げる。
「わっふー。お任せなんだぞ。室内では初めてのばびゅーんなんだぞ!」
……うむ。直線とはいえ、加減を間違って上昇下降すると壁に激突だからな。
ナナはステラの肩をぽむっと叩いた。
「……任せたよ、ステラ」
「お任せください! 最大速度でも安全に、です……!」
本当に任せたぞ、ステラ……!
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