619.砂ぴよの知識
レンガは順調に積み上がっているな。
ヴィクター兄さんが羽をぴこぴこさせる。
「よし、それじゃ次の崩落現場だな」
俺たちは戦闘をメインにしたほうがいいからな。
「わかった、移動しよう」
こうして別の崩落箇所へと俺たちは移動する。ここも同じように精霊が暴れていたが――撃破した。
ここでも兵士たちに驚かれたな。
「あんな木の棒で……!」
「この機会に、バットをどうぞよろしく……!」
布教に余念がないステラ。
それは置いておくとして……2時間くらいで全ての崩落現場を回ることができた。
砂嵐は吹き続けているが、雷は止んだようだな。
最後の崩落現場を後にしながら、俺はヴィクター兄さんに話しかけた。
「この砂嵐自体は……どうする?」
「ふむ、まだまだ魔力はあるようだな。強風と魔力のせいで砂嵐自体をどうこうするのは難しいだろう」
「やはりそうか」
魔法の発動には集中力がいる。さすがに空を飛ばされながら魔法の発動はできない。
「倒すべきところがわかれば、問題はないのですが」
目張りされた窓を見つつ、ステラが言った。
この巨大な砂嵐ではどこをどうすればいいのかもわからないしな。
「とりあえず雷も止んだし、解散だ」
「わかった」
ディアたちは別の広間に移動しているらしいので、そこまで行く。
「おかえりぴよよ!」
「おかえりなさいだぞ〜」
「無事だったのですね!」
新しく用意された広間は、前の広間より少し小さいか。それでも俺たちには十分だが。
「ただいま」
「ぴよ! あたしたち、砂ぴよと遊んでたぴよ!」
ディアは寝転んだ砂ぴよの頭に乗っているな……。砂ぴよの頭をぺちぺちしている。砂ぴよはものすごく眠そうだが……。
「ぴよ……」(トマト、うま……)
「ぴよ! 食べすぎるとたぷっちゃうぴよよ!」
「ぴよよ……!」(たぷはやだー……!)
砂コカトリスとディア、マルコシアス、レイアは仲良くしていたようだな。
「終わったんだぞ?」
「とりあえず来た敵は倒し終えましたが……」
「ウゴ、砂嵐をどうしようかって」
ふむ……そういえば、この砂コカトリスは砂嵐から逃げてきたんだっけか。
「この砂嵐についてなにか言っていたか?」
「ぴよ。砂嵐の現れたところは言ってたぴよ」
「なるほど……どんなところだ?」
ディアがぴよっと羽を広げる。
「柱がぐわーっとたくさんあるところから、よく砂嵐が生まれるらしーぴよね!」
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