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608/834

608.夜が近づいて

 その頃、ヒールベリーの村。

 大樹の塔の前でナールは優雅に読書をしていた。


「にゃんにゃーん」


 ナールが夕陽を見上げながら、読んでいた本をぱたりと閉じる。

 本の題名は『新々英雄ステラ伝説』という、ステラが読んだら卒倒しそうな本であった。


「おや、その本は……」


 夕方のお茶をしに来たアナリアがナールに声をかける。


「にゃ! ザンザス議会で編纂している本の書きかけにゃ」

「ふむふむ……途中までできていると聞きましたが」


 アナリアはナールの前に座りつつ、お茶の準備を始める。


 ナールも茶葉の用意を手伝いつつ、頷いた。


「ステラが復活する以前にスタートしてるにゃ。だから今は真実じゃないこともあるにゃ」


 一番最初にナールがステラと会ったとき、黒檀を折るとか……実際は粉々にしたのだ。

 その他にもステラが目覚めてから、真偽が判明したことは多い。


「……つまりごっそり書き換えですね」

「そういうことにゃ」

「でもステラはそういうの、嫌がると思いました。本とか、銅像とか……」

「途中まで書いてたから、セーフだったみたいにゃ」

「ああ、なるほど……。無駄にはさせたくないと」

「にゃ! でも正直、書くのが追い付かにゃいみたいにゃ」

「追い付かない……?」


 そこでナールは指を振った。


「伝説は増えていくのにゃ……!」


 ◇


 砂漠の宮殿。


 時刻の上では夜になったが、砂嵐が止む気配は全くなかった。


 窓ガラスには砂粒がひっきりなしに当たり、雷鳴はとどろき続けている。


「……今夜はこのままかな」


 砂コカトリスもサボテンを食べ終えて、うとうとしていた。しかし眠くても無秩序に寝転んだりはしない。


 ……輪になって、前のコカトリスにもたれるようにしている。


「ぴよちゃんサークルですね……」

「うむ、とりあえず満腹になってすやすやしそうだな」


 大広間はいくつもあるし、場所的には問題ない。

 ただ、砂嵐がおさまらないと外には出られないな。


「連れてきた手前、俺たちが自分の部屋で寝入るのは……」

「もちろん、大丈夫ですよ。砂ぴよちゃんを見守りながら寝ましょう……!」

「ありがとう……」


 ステラならそう言ってくれると思った……!


 そろそろ夜ご飯の時間か。

 ディアたちはまだ窓の外を見ている。


 しかし……この砂嵐、やはり妙な砂嵐だな。

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] リヴィングレジェンドゆえ伝説が増えるのも致し方なし
[一言] 更新有り難う御座います。 生きている伝説……。(今なお生産中)
[一言] ちゃんと記録に残しておかないと スティーブンの伝説が増えちゃうからなあ
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