表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

607/834

607.砂の雷鳴

 砂コカトリスの宮殿への入場にはひと悶着あった。

 やはり入り口でストップがかかったのだ。


「このエルぴよちゃんサボテンを食べながら、ちょっと待っていてくださいね?」

「「ぴよよー!」」(もぐもぐー!)


 砂コカトリスたちは頬が膨らむほどサボテンを詰め込んでいる。


「ぴよぴよ」(おいひぃ)

「ぴよよー!」(夢の食べ放題だー!)

「ぴよ! よかったぴよねー!」

「まだたくさんあるんだぞ。父上のぱわーは無限大なんだぞ!」


 いや、そこまでじゃないが。このコカトリスがお腹いっぱいになるくらいは楽だけれど。


 だがまだ入場はできていない。


「少し時間がかかりそうだな……」


 ヴィクター兄さんが門番と押し問答をしている。


「い、いえ……我々の一存では!」

「大丈夫だ」

「コカトリスですよ!? しかもこんなに!」

「問題ない」

「責任者を! 責任者を呼んできますから!」

「後で聞く」


 ……むしろゴリ押しである。

 しかしさすがコカ博士の知名度か、10分ほどして宮殿へ入ることができた。

 もちろん砂コカトリスも一緒にだ。


「ぴっぴよー」(お邪魔しまーす)


 サボテンを持ち込みながら、優雅な入場である。


 空はだいぶ暗くなっており、太陽の光が遮られ始めている。


「まるで大雨の前だな」

「ウゴ、そうだね……。さっきの砂嵐と違う」

「この速さならすぐ通り過ぎるだろうが……」


 とりあえず大広間に砂コカトリスたちを並べる。


「ふぅ、ふわもっこ……そこにある、ちょっとしたさらさら具合……」


 ステラが砂コカトリスたちを触って回っている。


「微細な異常も見逃しません……! あっ、大きめの砂粒が……」

「はい、ブラシ」

「ありがとう、ナナ!」


 そんなやり取りをしていると、いよいよ宮殿の窓が震えてきた。


 ガタタタ……!!


「すごぴよ。さっきの砂嵐とは違うぴよね」

「勢いあるんだぞ」

「窓にくっついて見るぴよ……!」

「ウゴ、俺も見てよっと!」


 べたー。ディアとマルコシアスは窓に顔を押し付けている。

 ウッドがちょっと後ろから覗き込んでいるな。


 ふむ……魔力の波をぴりぴり感じる。

 やはり自然の砂嵐とは違うな。


 その時、轟音が響き渡った。


 ドシャア……!!


 一瞬、室内の照明が明滅する。


「おおっ、雷か……!?」


 砂のドラゴンで雷……魔力の嵐なら不可能じゃないが。

 しかし、すごい音がしたな。


 あっ、子どもたちは……!?


「これが雷ぴよか!?」

「ピカッてしたんだぞ!」

「ウゴ、そうだね!」

「奥のほうで光ったぴよね!」


 うん……楽しそうだった。


 だが、いっぽう……。ステラはぷるぷると震えていた。

 なんとなく弱々しく見える。


「雷ですか……」


 かなり珍しいレベルで嫌そうな顔をしている。

 まさか、雷が苦手なのか?


 村では雷が落ちることはまずなかったので、知らなかったが。


「雷は当たると、けっこう痛いんですよね……」

魔力によるジャストガードにより、ダメージのほとんどを無効化なんだぞ(。•̀ᴗ-)✧


お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] サボテンは球サボテン、柱サボテン、団扇サボテンのどれでイメージして読めばいいでしょうか?
[一言] 天啓─────雷返し打法…………ッ!! そんな冗談(ではない)は置いといて、 子供たちが雷を怖がらないのはやっぱそれ以上にヤバいものを見続けてるからですかね
[良い点] ゴリ押しで砂ぴよ達を連れ込むとはコカ博士流石ですwww 砂漠地帯の騎士団もコカトリス恐怖症なのですねえ勿体ない… [一言] まあ、ビリビリは痛いらしいですしねえ でもステラなら自然の雷でも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ