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599/834

599.バットはときに短く持って

 その頃、大広間にて。


 砂の精霊がゆっくりと近づいてくる。


 ステラはすでにバットを構えている――だが、どことなく余裕そうだ。


「せいっ!」


 飛び込んできた砂の精霊にバットを振り抜き、先端を当てた。砂の精霊は木っ端微塵だ。


 そこからも続けて何体か砂の精霊がステラに近寄る。しかし、バットの射程に入った瞬間に、ステラは精霊を迎撃していた。


 ナナがゆっくりと俺に近寄る。


「トマトある?」

「あるぞ」


 着ぐるみの羽を通して、俺は魔法を使う。


 ぽんと着ぐるみの羽の上に、数個のトマトが生まれた。俺はそれをナナへと渡す。


「ありがとう〜」

「気にしないでくれ。今回もたくさんの野ボール用品を運んでもらっているからな」

「あはは、楽にはなったけどね」


 ナナが笑いながら、トマトを1個くちばしの奥へとツッコむ。


 その間にも砂の精霊を打ち落とし続けるステラ。

 あれだな、連続ノックみたいだ。


「さすがにこの程度では、移動もしないな」

「うん、腕の動きだけで十分だね」


 そんな野ボール観戦者みたいなことを言っていると、ヴィクター兄さんが羽をあげた。


「そろそろ増やして高速で行くが、大丈夫か?」

「はい、どうぞ!」


 ヴィクター兄さんがぴこぴこと羽を動かす。


 同時に砂の精霊がずらっと生まれる。

 その数、8個。


 一気に増えたな。


「ごーっ!」


 ヴィクター兄さんの合図で、砂の精霊が一斉にステラへと向かう。


「せいっ!」


 しかしステラは逆に砂の精霊へと突撃していった。


 その動きに学者先生たちが驚きの声を上げる。

 よほど意外だったらしい。


「なっ……まさか!?」

「逆に向かってくるだと!」


 ナナはもしゃもしゃトマトを食べている。


「勝負あったね」

「うむ、ステラの動きに対応できてないな」


 俺の見立ては間違いではなかった。


 ステラは短くバットを握り、まとめて数個ずつ砂の精霊を撃ち抜いていく。

 多分、1割の力も使ってなさそうだな。


「内野安打狙い……」

「なにか言った?」

「いや、なんでもない」


 あっという間に砂の精霊はすべて倒された。

 ぱらぱらとした欠片が大広間に散らばっている。


 精霊魔法の弱点をうまくついたな。自律性のない精霊では、ステラの動きについていくことは到底不可能だ。


「さぁ、次はどうしますか……!?」

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 バットは短く、スイングはコンパクトに!?
[良い点] 気圧変動は頭痛の元ぉおおお(動くと痛い) [気になる点] ピッチャーびびってる? (現実では絶対言ってはいけない)
[一言] 千本ノックというか バッティングピッチャー熱投というか ふつうの野球なら打席から大きくはみ出たら反則ですが 野ボールなので全く大丈夫、問題なしです 偏頭痛もですが眠気も酷いもんですよ
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