表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

594/834

594.べたー、ぐにー

 カカの案内で部屋についた。

 隣の部屋同士だが、ここでそれぞれの組に分かれる。


 家具やらベッド、何もかもが丸っこい。

 本当に砂が厄介なんだな……と実感する。


「では私はこれで。夜は晩餐があるから、よろしく」

「ありがとう」


 俺は部屋の扉を閉めて、一息つく。

 やっと家族以外がいない空間だ。


「ふぅ……」


 ここの窓は大廊下に比べると歪んでいない。なので外の様子がよくわかる。


「ウゴ、すごい砂嵐だね」

「宮殿を歩いている間に、砂嵐が来たようですね」


 たしかに外はノイズが走ったような光景だ。

 白と乳白色の砂嵐が窓に叩きつけている。


「ぴよ! すごぴよー!」


 ディアとマルコシアスは窓際にダッシュしていく。

 そして海と同じく、窓にべたーと張り付いた。


「やばぴよね……」

「窓は開けちゃダメなんだぞ」

「わかってるぴよ。死ぬぴよね」


 死にはしないと思うが……。

 しかしディアとマルコシアスは初めての光景を窓越しにたっぷり目に焼き付けているらしい。


「こんな砂嵐、ここでないと見られないからな」

「ぴよ! よく見えないけど楽しいぴよよ!」

「窓の外がよくわからないのが新鮮なんだぞ!」

「なるほど、そういう点が目新しいか……」


 盲点だったかもな。

 とりあえず砂嵐が終わるまでは宮殿の外へは出られない。


「晩餐までは時間があるが、どうする?」

「少し見て回りたいですね」

「ウゴ、そしたら俺、ディアたちと一緒にいる!」


 ふむ、ステラは宮殿を見て回りたい……子ども達は部屋でお留守番か。


 ディアたちは顔をぐにーと窓に押しつけている。


「わかった、じゃあ俺はステラと一回りしてくる」

「ぴよ! おもしろいのがあったら、教えてぴよよ! 見に行くぴよ!」

「今は窓の外を見てるんだぞ」

「いってらっしゃいぴよ!」

「ウゴ、気をつけて!」

「いってらだぞー!」


 ということで、あてがわれた部屋をステラと出た。


 ぽにぽに。


 廊下を歩きながら、俺は隣のステラに話しかける。


「しかし珍しいな、見て回りたいなんて」

「ええ、少しばかりスタンスを確認しておきたくて……」

「スタンス?」


 ステラが真面目な顔で、俺にずいっと近寄る。

 着ぐるみの目の穴いっぱいにステラの顔が広がった。


「どこまで野ボールのせんで――いえ、有用性を言ってのけていいのかな、と!」


 ……今、宣伝って言いかけたか?

今だと動画で見られても、こっちではそうは行かないんだぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧


お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 不意に「砂漠の野球部」って漫画思い出しました
[一言] ぴよなら、砂嵐に乗って遊びそうな気が。 いや、昼寝している内に巻き込まれて飛んで行く。
[良い点] シーズン中ですしー 全力でOK
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ