568.魔導トロッコは安全です
ディアがさらにガチャガチャとレバーとボタンを操作していく。
「ここからは操作をしっかりやっていくもぐ」
「はいぴよ!」
「楽しみなんだぞ〜」
この速度ならさほどの危険はない。
加速するここからが本番か。
「おお、ゆっくり加速していきますな」
「そうだな。どうぞゆったり楽しんでほしい」
ぴっぴよよー。わふふー。
ディア達のご機嫌な歌にあわせて、魔導トロッコが加速していく。
向かい風が強くなり、やがて魔導トロッコは最高速に達する。
「かなりの速度ですね……!」
遅い馬くらいの速度は出ているな。
もちろん人間の移動速度よりは断然速い。
ガタンゴトーン、ガタンゴトーン。
「ウゴ、いいねー」
「こんなに速く動くのは初めてです!」
ドリアード達も楽しそうだな。
思えば彼女たちは馬にも馬車にも乗らない。
確かにこれほど速く動くのは珍しいかも。
「大成功だな」
「良かったです。暴走する魔導トロッコを止める緊急ミッションが発生しなくて」
「俺もそう思う」
やがて魔導トロッコはかなりの距離を走った。
ディアも少し慣れてきたようだ。
「ぴよ! ところでこれはどう止まるぴよ?」
「そろそろ終点な気がするんだぞ」
「もっぐ! こっちのレバーを引くもぐ」
「このボタンは何ぴよ?」
「緊急ミッションが発生するボタンもぐ」
「レバーにしておくんだぞ」
「人生は妥協ぴよねー……」
そこは素直に妥協してほしい。
ディアがぴよっとレバーを引くとゆっくりブレーキがかかり始める。
ちょっとほっとした。
「これで十分速度が落ちたら、そっちのレバーを引くもぐ」
「我のほうだぞ?」
「これで止まるもぐ。あとちょっとで引くもぐ」
「引かないとどうなるぴよ?」
「設置されたレール内に止まらないもぐ。オーバーランもぐね」
「割りと重大なんだぞ!」
「5、4、3、2、1、今もぐ!」
「だっぞー!」
「完璧ぴよ!」
そのまま魔導トロッコはどんどん速度を落とす。
乗客は止まる気配を察して、出発時と同じくらい盛り上がってきた。
そして次の地下空間で魔導トロッコはちゃんと停止したのであった……!
領地情報
地名:ヒールベリーの村
野球チーム名:ヴィレッジ・コカトニア
特別施設:冒険者ギルド、大樹の塔(土風呂付き)、地下広場の宿、コカトリス大浴場、コカトリスボート係留所、たくさんの地下広場、ため池、入浴の塔、魔導トロッコ
総人口:269
観光レベル:B(土風呂、幻想的な地下空間、エルフ料理のレストラン、池と堤防、入浴の塔)
漁業レベル:B(レインボーフィッシュ飼育、鱗の出し汁、マルデホタテ貝、ホンビノス貝)
牧場レベル:B(コカトリス姉妹、目の光るコカトリス、ヒナコカトリス、海コカトリス)
魔王レベル:D(悪魔マルわんちゃん、赤い超高速)
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