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567.もっと加速していきますもぐ

 ドキドキ。

 さすがの俺も、出発の瞬間は心臓が高鳴る。


 俺達は客席の最前列にいるからな。

 後ろからだが、ディア達のことはよく見えるのだ。


「出発ぴよよー!」

「だぞー!」


 ぴよっとディアがボタンを押して、レバーを引く。


「もぐ! オッケーもぐ〜!」


 ガタゴト、ガタゴト……。


 魔導トロッコが少しずつ振動を始める。


「にゃ、いよいよにゃ……!」


 乗客の期待が高まる。俺もその一人だが。

 魔導トロッコの揺れは……ふむ、電車よりもう少し揺れているか?


「皆様、そろそろ走り始めますもぐー!」

「ぴっよー! 走っちゃうぴよよー!」


 そしてゆっくりと魔導トロッコが走り始める。

 最初はほんのちょっとずつ。人がゆっくり歩く程度の速度だ。


 しかし間違いなく前進している。

 瞬間、乗客からも歓声と拍手が巻き起こった。


「動いた……!」

「ええ、前に進んでいます!」


 俺とステラも頷きあって喜ぶ。


「ついに走り出したぜー!」

「いやぁ、こんなに乗っても動くもんなんだな!」

「乗れて良かった……!」

「ぴよー!」(動いてるー!)


 後ろを振り返ると、大シートに乗っているウッドとララトマ、テテトカが見えた。


 何を話しているかまでは聞こえないが、ドリアード達もほえーという顔をしている。

 うん、あれはイベントごとを楽しんでくれている顔だな。俺もわかってきた。

 ドリアードは表裏がない分、同じような反応をしてくれるのだ。


「ゆっくり進みますもぐー!」


 言葉通り、魔導トロッコの進みはゆっくりだ。


 ……数十秒くらいだろうか。

 再びイスカミナのアナウンスが入る。


「少しずつ加速しますもぐー」


 そうしてイスカミナがディアとマルコシアスに指示を出す。


「今度はこっちのレバーぴよ!?」

「それはお星さまになっちゃうレバーもぐ」

「こっちのボタンはどうなんだぞ?」

「私たちがドヒュン! しちゃうボタンもぐ」

「ぴよ! 押してみたいぴよ……!」


 ディアが誘惑に駆られている!


「ドヒュン……してみたいぴよ……!」

「それはまた今度もぐ」

「いいんだぞ?」

「ステラと一緒なら、押してみるのもいいもぐ」


 俺の隣でステラが目をぱちくりさせた。

 まぁ、ステラと一緒なら大丈夫な気はするが……。


「じゃあ、こっちのレバーぴよね」

「そうもぐ!」


 ガチャガチャ。


 ディアがレバーを数回操作すると、魔導トロッコが加速していく。


 おおっ、かなり速くなってきたな……。


 でもまだ人の走る速さくらいだ。馬には到底及ばない。揺れはほとんど変わらないな。

 俺なら余裕で寝ることができる。


「では、もっと加速していきますもぐー!」

母上がいれば、母上がいれば……だぞ!✧◝(⁰▿⁰)◜✧


お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ドヒュンしちゃうとかお星さまになっちゃうとか、何故ある…。 せめて、簡単に操作出来ないように蓋付きになってるとかロックがかかっていて無理しないと動かないとかしてないの?
[気になる点] 洞窟内でドヒュン!しちゃったら、天井に激突してしまうのでは? [一言] 押すなよ!絶対押すなよ!
[一言] 伝説の母上さえいれば それでも安全運行で
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