558.夏のメニュー
それからまた数日。
かなり暑くなってきたな。
まぁ、この世界は魔法具の冷暖房があるからだいぶ楽だが。
今日は休日だ。
家でごろごろしていると、子犬姿のマルちゃんもソファーで寝転がっている。
「あっついんだぞ」
「ぴよ。マルちゃんも毛が多いぴよ」
つやつやー。
ディアがマルコシアスの毛を撫でつける。
「我が主はひんやり気持ちいいんだぞ」
むにっ。マルコシアスがディアの体をもみもみする。
「確かに暑いかもですね。こうしたときは……アイスドラゴンの牙でも食べますか」
「ウゴ! あの氷のやつ?」
「そうです! 氷の砕いたやつです!」
あれか……。かき氷だな。
前に食べたときは秋か冬だった。今の季節のほうが合うだろうな。
「じゃあ作ってもらっていいか? シロップやトッピングは俺のほうで作ろう」
「はい……!」
とてとてとて、ディアとマルコシアスがやってくる。
「ぴよ! なにつくるぴよ?」
「アイスドラゴンの牙だ。ひんやりおいしいぞ」
「ひんやりするのは素晴らしいんだぞ」
ウッドは前に食べたことがあったな。
ディア達にも少し手伝ってもらうか……。
「ウゴ、たくさん果物乗せる?」
「そうだな、イチゴとかマンゴーとかパイナップルとか……」
シロップはこした果物に砂糖や水で作ればいいか。
あとは蜂蜜とかを入れれば形になるだろう。
「ぴよ! こねこねするなら、あたしもできるぴよよ!」
ディアが羽をぴっと上げる。
そうだな、包丁を使わず果物を潰したりするのはディアやマルコシアスでも大丈夫だ。
「アイスドラゴンの牙も、夏のメニューとしてはいいかもな」
果物を派手に使うとコストが大変だが……夏には需要が見込めるだろうし。
そうしてイチゴ、メロン、マンゴーのシロップを作る。あとはトッピングで……ブドウやオレンジ、メロンだな。
「ぴっぴよー」
ディアがメロンのこしたものに砂糖と水を混ぜている。ふむふむ、ちゃんと分量通りだな。
「マンゴーシロップはこれでいいんだぞ?」
「ああ、大丈夫そうだな」
「ウゴ、トッピングはこれでいい?」
ウッドが綺麗に切り分けた果物を見せてくれる。
「さらに手先が器用になったな! キレイだぞ」
「ウゴ、ありがとうー!」
「ぴよ! 早く乗せたいぴよー!」
「待ちきれないんだぞ!」
そこへステラがかき氷を持ってくる。
人数分のボウルも一緒だな。
「よいしょっと。はい、アイスドラゴンの牙ですよ。好きにトッピングを!」
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