547.砂は砂だけど
「いいぴよっ!?」
「ぴよ!」(一緒に入ろう!)
「どぞどぞー」
テテトカに抱えられ、ディアは大きな箱に入る。
敷き詰められた砂にディアはすちゃっと着地した。
「……ぴよ、ぴよ」
脚で砂をふみふみ。
加熱器でぽかぽか温かい。
ディアはこの前の海の砂と少し感触が違うことに気が付いた。
「なんか丸いし、色が違うぴよねー」
海の砂は白かったが、この砂はキラキラしている。
ディアが砂を羽で取ってみると、その違いはいっそう明らかだった。
海岸の砂よりも粒が小さく、丸い。
「じっー……ぴよ」
「この砂は南のー……『おあしす』というところから取り寄せたみたいなんですー」
「わふー。じゃあ砂漠から取り寄せたものなんだぞ」
「なるぴよ。これが砂漠の砂ぴよね……!」
細かくて丸い粒子の手触りがなかなかいい。
「ぴよよ……!」(わかったかな、砂の良さが……!)
「ぴよ! この感触、寝転がるといいぴよね!」
ディアがぴよっと砂の上に寝転がる。
「ぴよー……」
「砂漠も暑いらしいから、これは良い予行練習なんだぞ」
「不思議ですねー。『さばく』では砂ばっかりあるなんてー」
「ぴよ! なんか岩や石が小さくなって砂になるとか……書いてあったぴよよ」
「へへー! そうなんですねー」
「ぴよ。……マルちゃんもここ、どうぴよ?」
ぽむぽむとディアが砂を叩く。
「むっ……砂はそれなりに熱いんだぞ?」
「それなりに熱いですねー」
加熱器の上で砂は滅菌中であった。
「大丈夫ぴよよ! あたしがいるぴよ!」
「わっふ……。じゃあ、失礼するんだぞ」
テテトカがマルコシアスを抱える。
「おー、つやつやー」
そして砂の入った箱にマルコシアスをそっと置く。
「だぞっ……! それなりに熱いんだぞ」
「あたしにくっつくぴよっ!」
ぴと。
マルコシアスがディアと抱き合う。
「わふぅ。ひんやりなんだぞ……」
ディアの体はひんやりモードに入っていた。
ふわもっこの奥からほのかに冷気が……!
「ぴよよー。しばらくこのまま砂を楽しむぴよよ」
「わかったんだぞー」
「ぼくも一休みしましょうかー」
テテトカがマイ植木鉢を持ってきて、その中に入る。
「ぴよー」(すやぁー……)
砂に先に入っていたコカトリスもうとうと、お昼寝に入っていた。
……こうしてディアは砂漠について、ちょっと詳しくなったのだった。
マルコシアスを抱えながら、ディアはむにゃむにゃする。
「ぴよー……。転がるとなかなかいいぴよねー……」
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