546.砂を探して
ある日のこと。
ディアとマルコシアスはぴよぴよわふわふとお散歩に出かけていた。
広場では野ボールしている人達がけっこういる。
「駆け足なら負けませんー!」
ラビット族もさっそく参加している人がいるようだ。
木陰ではコカトリスがぴよっとお昼寝をしていたりする。
「ぴよ。今度いく、砂漠ってどんなとこぴよねー?」
「我もよく知らないんだぞ。砂漠は記憶にないんだぞ」
「かあさまは砂浜みたいなものって言ってたぴよけど……あれがずっと続いているとか、すごぴよねー」
ぴよぴよ。
この前の海は港町で、それほど砂浜が広かったわけではない。
しかも季節は春。砂漠とはまた違った。
「わふ。砂はもしかしたらテテトカが持ってるかもなんだぞ」
「まじぴよっ!?」
「農業用に砂も仕入れてるかもだぞ」
あるいは土風呂用に……。
マルコシアスはそこまで言わなかったが。
「じゃあ、れっつごーぴよー!」
◇
テテトカは大樹の塔の前で水やりをしていた。
「ふんふーん」
ディアとマルコシアスが訪ねてきた訳を説明する。
「砂ですかー?」
「砂ぴよ!」
「はー、それなら塔の中にありますけどー」
「本当ぴよ!?」
「今、使ってますけどー、来ます?」
「……使っている、だぞ?」
「とりあえず行くぴよよ!」
そうして大樹の塔に入っていく。
奥まった作業場に、砂が満杯の大きな箱があった。
真っ白で美しい砂である。
「ぴよ!」(よっすー!)
そこにコカトリスが体半分埋まっていた。
羽をぴこっと掲げて挨拶をしてくる。
「ぴよ! ……これは先客ぴよね!」
「同じことを考えてるぴよがいたんだぞ」
テテトカがぽてぽてと箱の下を覗く。
「加熱器はだいじょーぶですー?」
「ぴよ!」(問題なっしんぐ!)
ぐっと羽でサムズアップして答えるコカトリス。
「加熱してるぴよ?」
「なんでなんだぞ?」
「砂を綺麗にしてるんですー。こうしたほうがちょっといいんですよー」
テテトカは語る。
「外からの土や砂は、実は綺麗じゃないこともあるのでー……」
「ぴよ! じゃあ、そこのぴよは……」
「ぴよっ!」(草だんごで雇われたっ!(きりっ))
「ということなんですー。ふつーの土はぴよちゃん、乗り気じゃないんですが……砂はいいみたいで」
「なるほどなんだぞ。この砂を農業に使うんだぞ」
「そですー。こう、まぜまぜして使いますー」
ふむふむとディアが頷く。
「それで、この砂には入ってもいいぴよ……?!」
テテトカはひょいと草だんごを食べる。
もぐもぐ……。
絶妙なタイミングの草だんごにディアが息を呑む。
「ごくぴよ……」
……ごっくん。
草だんごを食べたテテトカが口を開く。
「いいですよー」
お読みいただき、ありがとうございます。