500.ナナを探して
翌日。
のどかな春の陽気で目が覚める。
今日は休日だ。
……ディアのお望みのぴよ服。
マルコシアスはいいとして、ディアとウッドのサイズはハードルが高い。
「どうしましょうか、エルト様」
「ふむ……。やはりいい相談先か……」
ステラはマルコシアス(少女姿)を立たせ、体のサイズを測っている。
ちゃんと黒のゴスロリっぽい服は着ているが。
「成長してたりするんだぞ?」
「ぺたぺた……。あまり変化はないようですが……」
「がーん!」
ディアは少女姿のマルコシアスを見上げている。
かなり久しぶりかもしれない。
「髪はちょっと伸びたかもぴよね」
「おおっ、成長してるんだぞ!」
「ぴよ! マルちゃんをモミモミしてる、あたしの目は確かぴよ!」
「ウゴ、説得力ある……」
ウッドは微笑ましくこの様子を見守っている。
「レイアに相談すれば、なんとでもなる気はするが……ヴァンパイアはどうしているんだろうな」
「あっ、そうですね。太陽避けの服は赤ちゃんの頃からあるはずですから……」
「そうするとナナに聞いてみるのが一番か」
「ええ、彼女は着ぐるみマイスターでもありますからね。きっとバッチリです……!」
俺のエルぴよも製作してくれたしな。
「では……次にウッド、こちらへ!」
……ステラがウッドのサイズの計測を始めていた。
すぱぱっと移動し、体のサイズを測っていく。
身のこなしがちょっと忍者みたいだ。
「じゃあ、ちょっとナナに会ってくる」
「いってらっしゃいです……!」
「いってらぴよよー!」
「いってらっしゃいなんだぞ!」
皆に見送られ、俺は家を出た。
◇
「さて、ナナは――どこにいるかな」
ナナは作業があると、何日でも工房に引きこもって姿を見せない。
そうでないときは割とふらふらしているが。
「……家に行ってみるか」
伸びをしながら村を歩いていく。
広場にはお昼寝したり、運動している人がけっこういるな。
広場の隅ではテテトカとブラウン、コカトリス達が何やらテーブルを囲っている。
ちょっと珍しい組み合わせかもしれない。
「ぴよぴよ」(どうですか、これは……)
「ぴよっぴ」(いいです。酸味がガツーンと来るのが、グッド)
「ぴよよっぴ」(こうして食べると、それはまた趣きがあります)
「トマトのスープは好評みたいですねー」
「にゃん! ちょっと辛い香辛料を入れてますにゃん。それはどうですにゃん?」
スープボウルを掲げ、コカトリスがごっくごくスープを飲んでいる。
「うん、この組み合わせはいいね。トマトには無限の可能性がある。どんなトマトにもぴったり合った役割があるんだと、僕は常に――」
……。
テーブルを囲っていたコカトリスのなかに、ナナがいた。
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