表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

498/834

498.暖かくなって来たので

「ほう、いいじゃないか……!」


 俺はふわもこトロッコを覗き込む。


 ちょこんと乗った、ミニのコカトリスぬいぐるみが素晴らしい。

 ……手に取ってみたくなるな。


「にゃ。ミニトロッコとぬいぐるみの組み合わせですにゃ。シンプルだけど、これなら独自性がありますのにゃ」

「ふむ……。そうだな、ドワーフは逆にぬいぐるみみたいなのは得意じゃない、か」


 普通のミニトロッコなら、他国のほうが優れたものを作る。

 しかし、もこもこコカトリス付きならどうだろうか。それだけで大きな違いになり、ザンザスの強みも活かせる。


「お褒めいただき、ありがとうございます……! まだバランスやコスト面で、色々と詰めなければなりませんが……」

「方向性はとてもいいと思うぞ」

「イケると思いますにゃ」

「『コカトニア・ハウス』のラインナップに加えることも考慮して、詳細をまた報告します……!」


 レイアがテーブルの上に広げたトロッコ達をバッグにもどしていく。


「……ちょっとだけいいか?」

「? どうぞ、気になるのがあれば……」


 では、お言葉に甘えて。


 俺はふわもこトロッコを手に取り、しばらく堪能したのであった。


 ◇


 大樹の塔。


「はー、困りましたねー……」


 テテトカはうーんと首を傾げていた。


「お姉ちゃん、どうかしたのです?」


 悩んでいる姉の姿は珍しい。

 だいたいのドリアードの悩みは、あと1個草だんごを食べるか、食べないかくらいなのだ。


 そしてテテトカは、迷ったら食べる派である。

 それゆえ、こうして首を傾げる姉は相当珍しいのだ。


 ララトマが草だんごをもぐもぐしながら、テテトカへ問いかける。


「土風呂の予約を整理していたのですがー……暖かくなって、たくさんの人が来ててー」

「そういえば、最近人が多いです」


 ララトマは大樹の塔の窓から、土風呂コーナーを見渡す。そこでは今日も、住人や行商人が土風呂に入りまくっていた。


 ……すでに土風呂コーナーの隣で、順番を待っている人もいる。


「ぼくたちには地下があったりもしますが、限界が来そうかなー」

「です。もぐもぐ、ごっくん……。考えてもらわないといけないです!」

「そだねー」


 そこへウッドがやってくる。


「ウゴウゴ、収穫終わったよ!」

「はーい! 今、行きますですー!」


 ララトマが嬉しそうにパタパタと出掛けていく。


 テテトカはその様子を微笑ましく見送りながら、頭の中で今の話を再考していた。


 問題は面積なのである。

 これからもっと暖かくなれば、人ももっと来るだろう。


「……ここみたいに高くしたら、たくさんの人が入れますかねー?」

お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「もぐもぐ」からの「そだねー」は懐かしいなー、まさかファンタジーの世界で北海道弁を聞けるとは。
[一言]  土色の袋を作って人形を入れて寝かせるように置いたら、ヒールベリー村名物『土風呂』になるぴよ! え、どっかで見たことある形? 気のせいぴよ! あったとしても、『風呂』ではないからセーフぴよ!…
[一言] 更新有り難う御座います。 色々と事業拡大?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ