495.ディアのきもち
エルトの家。
そこではディアが子犬姿のマルコシアスをもみもみしていた。
「マルちゃん、また大きくなったぴよ? 成長したぴよ?」
もっみもみ。
マルコシアスはうっとりした顔でもみもみを受け入れていた。
「あたしにはわかるぴよ。マルちゃん……ちょっとビッグになってるぴよね!」
「わふー。海での経験でレベルアップしたかもなんだぞ」
「いいぴよね……! なにか変わったぴよ?」
きらきらした瞳でディアがマルコシアスを見つめる。
「……ばびゅーんが速くなった気がするんだぞ」
「マジぴよ!? すごいぴよ!!」
もみもみもみ。
「見てみたいけど、ばびゅーんはお家でやっちゃだめぴよ。また今度確かめるぴよよ」
そんな風にまったりと時間は過ぎていく。
玄関から鍵を回す音が聞こえ、扉が開いた。
エルトが帰宅してきたのだ。
「ただいまー」
「あっ、とうさまぴよ。おかえりぴよよー!」
「おかえりなさいなんだぞ」
「今日ははやぴよねー」
「ちょっとお風呂を沸かしにな……。ステラが池にダイブしたから」
そのままエルトは浴室に行こうとして、踏みとどまる。
「……ぴよ?」
ディアとマルコシアスが首をかしげている。
もう一言、フォローが必要かもしれない。
「ぴよグッズのテスト、仕事だからな。ステラの仕事は大変なんだ」
「なるぴよ、お疲れ様ぴよ!」
「てっきりノリで池に突撃したと思ったんだぞ」
「かあさまなら、あり得るぴよね……!」
ディアもマルコシアスもステラのことを理解している。
優しくて、とっても強い。
それはそれとして、結構ノリで生きているところがある。
それからエルトはお風呂を準備して、また仕事に出掛けていった。
◇
エルトが仕事に出て、数十分後。
タオルとぴよジャケットを羽織ったステラが家へと帰ってきた。
「ただいまでーす……!」
「おかえりなさいなんだぞー!」
「おかえりぴよ! とうさまがお風呂準備していったぴよよー!」
「助かります……! では、お風呂行ってきます!」
そうしてステラはお風呂へと旅立って行った。
「新しいぴよグッズ……だぞ。ジャケットなんだぞ」
「ぴよ……。そうぴよね……」
「あれを着て、池へとダイブしたっぽいんだぞ」
ディアが浴室への通路を見つめている。
「どうかしたんだぞ?」
「……ぴよ。こんな気持ち、初めてぴよ……」
「我が主、まさか……」
マルコシアスがディアの顔をまじまじと見る。
「とうさまとかあさまみたいになりたいぴよ。あたしも……『ぴよみ』あふれたいぴよ」
「ん? だぞ?」
首を傾げるマルコシアスに、ディアが振り向く。
その瞳にはステラと同じ情熱が宿っていた。
「ぴよ着ぐるみ、あたしも欲しいぴよ……!!」
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