488.何事も全力で
お昼は堤防の近くでアウトドアご飯だな。
「ぴよ」(おいひい……!)
「ぴよぴ」(遊び場を作って食べるご飯はおいしい!)
コカトリス達が座って、もちもち草だんごを食べている。
かわいい。
シートの上に座っている俺達も和やかになる。
特にステラとレイアは並んでほわほわ見守っていた。
「ぴよちゃんのお食事は、眺めるだけで幸せになりますね……」
「ええ、本当に……」
縁側でお茶を飲む方々みたいになっている……。
「ところでレイア、さきほどから気になっていましたが……腰を痛めていますか? 軸が歪んでいるような……」
「ぎくっ! ……いえ……はい」
「海で痛めましたか? それならわたしがマッサージしましょうか?」
「えっ!? そ、それは……」
「気にしないでください。レイアには万全の状態でコカトリスグッズを開発、生産し続けるという高貴な仕事があるのですから」
「うっ……。わ、わかりました……」
何か始まったな……。
レイアがシートの上にうつ伏せになる。
手をわきわきさせたステラが、ゆっくりとレイアの腰を揉み始めた。
「肉と骨の調和、神経の高みを……!」
「本格的だな」
「ふふ、我流ですけどね」
我流のマッサージと聞くと、なぜだか不安になる。
……まぁ、ステラだから大丈夫だと思うが。
「ぴよー! とうさま、かあさまー!」
「ウゴウゴ、向こうの仕事が終わったから来たよー!」
「我もいるんだぞー!」
おっ、ウッドに連れられてディアとマルコシアスがやって来た。
「皆、来たか。ご飯は?」
「ぴよっ! 塔で食べてきたぴよ!」
「母上、何してるんだぞ?」
「マッサージです……! レイアが腰を痛めたそうで……」
「うう、面目ありません……」
「レイアのほうが年上ですからね。労らないと……」
「えっ?」
「えっ?」
「「…………」」
「ま、まぁ! どうですか? 効いてますか?」
もみもみもみ。
「は、はい! 効いてます……!」
木像になっていた時間を除くと、実はステラよりもレイアのほうが年上なんだよな……。
「ぴよ……。この下はどうなのぴよ?」
「この下のツボですか……。ヤバめです」
「ヤバめなんだぞ」
「このさらに下はどうぴよ? ヤバヤバぴよ?」
「ヤバヤバのヤバです。ちょっと痛いです」
「ウゴ、ちょっとなら……まぁ……」
「脂汗が出るくらいには……」
「それで『ちょっと』なんだぞ?」
「そうです。そのさらに右斜め下は『かなり』です。激しく危険と言っていいでしょう……! とはいえ、腰痛にも激しく効きますが」
すでにうっすらレイアは額に汗を流しているような……。
「どうします? いってみます?」
「レッツゴーぴよ!」
「い、いえ! それはまたの機会に……! 休みを終えて、堤防作りをしなければ……」
「むっ。それもそうですね……」
「わふ。追加のぴよも来たんだぞ」
マルコシアスがくむくむと匂いをかいでいる。
「追加のぴよ……? まさか……」
のっしのっし、ぴっよぴよ。
塔のほうから、コカトリス達が一斉に歩いてくる。
ひー、ふー、みー……というか、多い。
「「ぴよ!」」(新しい遊び場、つくる!)
……ぴよ全員参加?!
遊びにも、遊び場作りにも全力だぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧
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