482.ぴよっとね
村に帰ってきて――まずしなければならないことは帰還の挨拶だな。
何かあったかも聞きたいし。
ぴよぴよ。
海コカトリス達は村に着いてから、きょろきょろと周囲を見渡している。
「ぴよ……」(ご飯のかおり……)
「ぴよっぴよ」(自然、それはおいしい)
目がきらきらしているな。
最初の印象は悪くなさそうだ。
「ステラ、お願いがあるんだが……海コカトリス達を宿舎に送り届けてもらっていいか?」
「はい、もちろんです! エルト様は?」
「ナールとアナリアに会いたい。報告はしたいからな」
「わかりました……!」
こうして俺は一行と別れて、ナールとアナリアに会いに行った。
ふむ、特に変わりはなさそうだ。
道行く人に聞きながら、ぽてぽて歩く。
運良く、冒険者ギルドの一階でナールとアナリアがご飯を食べていた。
「無事におかえりなさいですにゃ!」
「おかえりなさい!」
「ああ、ただいま。特に問題はなかったよ」
「何よりですにゃ! こちらも問題はありませんですにゃ!」
「いくつか見て頂きたい書類はありますが、日常業務は滞りなく済んでいます!」
「そうか、何よりだ」
ぴこぴこ。
「ふたりともありがとう、とにかく問題がなかったのは何よりだ」
「お任せいただき、光栄でしたにゃ!」
「組織は出来ていましたからね。エルト様の日頃のお仕事の成果です!」
むふーとアナリアとナールが胸を張る。
「……ところで問題はなかったが、すぐに報告すべきことはある」
ぴこ……。
俺はなるべくさり気なく言った。
「コカトリスを7体、連れ帰ってきた」
『?!』
◇
コカトリスの宿舎。
ステラとレイア、ヴィクターは海コカトリスを宿舎に案内していた。
「ぴよ……!」(お世話になります……!)
「ぴよよ!」(いらっしゃーい!)
「ぴよっぴよ!」(新しい仲間だー!)
コカトリスの挨拶は接触にあり。
お互いにふもふもしながら確かめ合うのだ。
「ふふ、微笑ましいですね……」
「まさに眼福。コカトリス達も仲間が増えて、楽しそうですね」
「ええ、そのようです」
コカトリス達はお互いに抱き合い、お腹や羽をもみもみし合っている。
「コカトリスは縄張り意識がなく、お互いに仲良くなれるからな。問題はなかろう……」
「……博士、じりじりとコカトリスに近寄っているのは?」
ヴィクターの位置がちょっとずつ、コカトリスへと近付いている。
「今なら紛れてもわからないかな、と……」
ぴこぴこ。
「むぅ……紛れる、紛れ……まぁ、少しくらいなら……」
「ちょっとだけなら……」
ステラとレイアはお互いに顔を見合わせる。
ステラがうんうんと頷いた。
「……わたし達も挨拶すべきですね」
「そうです……! これは挨拶です!」
「挨拶はちゃんとしないとな」
……。
そうして3人は思う存分、コカトリスと挨拶を交わしたのだった。
もっふもふ。
このあと、ぴよ達はすやぁしたんだぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧
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