481.帰還
翌日。
港を離れる時間になった。
天気は快晴、潮風が心地良い。
帰りはルイーゼ便ではなく、博士便になった。
なのでルイーゼともここでお別れだ。
宿舎の屋上でルイーゼを始めとする面々に見送られる。
「世話になった、ありがとう」
「いんや、礼を言うのはこっちのほうさ。人的被害は最小限、期間も最短。随分と助かった」
ルイーゼはほっとした様子だな。
屋上には海ぴよも集まっている。
ヴィクターの魔法でも運ぶのは色々と工夫が必要らしい。ロープで囲い、位置を微調整していた。
「……ちら」
ルイーゼが海ぴよを見た。
……あのぴよ塊を空輸しなくて、ほっとしている気もする。
「本当にお世話になりました。本来なら……もっと盛大にお見送りするところですが」
クロウズが深々と頭を下げる。
「俺も事情がある。気にしないでくれ、このほうが良い」
「ありがとうございます。ステラ様の武勇も、改めて知れ渡ったことでしょう……!」
「いえいえ……」
ステラもお辞儀をする。
これはあれだな、社交辞令的な対応だ。
「そして急遽、集めたものですが――お納めください」
そう言ってクロウズは数冊の本を取り出した。
「海コカトリスについての本です。船員達の記録もまとめられています」
「なんと!? ありがとうございます!」
ステラが飛びつくように前へ出た。
ちなみにレイアはぴよ塊をぎゅむぎゅむと押しているようで、こちらに気が付いていない。
「お役に立てられれば幸いです」
「はい! すでに幸せです!」
ステラがにこーとしている。
「良かったな、海ぴよとの生活にも役立ちそうだ」
「ええ! いいお土産を頂きました!」
◇
それから、みっちりしたぴよぴよのヴィクター便とばびゅーん便で村へと戻った。
「ぴよー!」(とんでるぅー!)
「ぴよよー!」(はやいー!)
ロープで固定したぴよぴよ塊……。コカトリスの頭がぴょこんと飛び出している。
なんだか昔のゲームで、こんなのがあったような……。
うっ……頭が……。
ともあれ、帰りは何の問題もなくヒールベリーの村へと辿り着いた。
到着したときは夜になっていたが、まだ夜ご飯の時間だな。
大樹の家に明かりが灯っている。
留守にしていたのはたった数日の間だが――なんだか長く感じた。
戻ってきたんだ。
ヒールベリーの村へ。
領地情報
地名:ヒールベリーの村
野球チーム名:ヴィレッジ・コカトニア
特別施設:冒険者ギルド、大樹の塔(土風呂付き)、地下広場の宿、コカトリス大浴場、コカトリスボート係留所、たくさんの地下広場
領民:+7(海ぴよの皆さん)
総人口:263
観光レベル:B(土風呂、幻想的な地下空間、エルフ料理のレストラン)
漁業レベル:B(レインボーフィッシュ飼育、鱗の出し汁、マルデホタテ貝)
牧場レベル:B(コカトリス姉妹、目の光るコカトリス、ヒナコカトリス、海コカトリス)
魔王レベル:D(悪魔マルわんちゃん、赤い超高速)
帰ってきたんだぞ!
またしばらく村にいるんだぞ!!✧◝(⁰▿⁰)◜✧
お読みいただき、ありがとうございます。