表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

479/834

479.記憶をたぐって

「いつの間に作ったんだ……? 良く出来てる」


 そのぬいぐるみは一目で俺の着ぐるみを元にしているとわかった。

 ちゃんと同じようなリボンも付いてるし……。

 かわいい。


「昨日の夜、せっせと作った。割といい出来だろう?」

「ああ、驚いた……ところで、断然良いというのは?」

「ふむ……この前、北の芸術祭でミニチュアサイズのヒールベリーの村を見た」


 コカトニアの村だな。

 あれも調整中だが、販売は近いはずだ。


「単品のぬいぐるみだけではなく、ああいうシリーズとしてまとめるのは非常に賢い。軌道に乗れば、長く優位を保てるだろう」

「だと願っているが……それで?」


 そこでヴィクターは博士とエルぴよぬいぐるみを手に取って揺らした。


「キャラクター性を付与すれば、さらに優位を得られる……そう思わないか?」


 むっ。

 ……鋭い。


「確かに……それはそうだ」


 俺はふむふむと頷く。

 コカトリスグッズはザンザスだけの専売特許ではない。

 この港にもコカトリスのガラス製品があったしな。


「なるほど……そう考えると悪くない」


 俺の着ぐるみのぬいぐるみは……うん、まぁ……。


「すぐにとは言わん。検討してくれ」

「わかった。前向きに考えよう」


 ヴィクターがすすっと試作品のぬいぐるみ2体を俺に差し出す。


「さて――次の話だ。ベルゼルから聞いたが、お前の母親についてだ」


 ヴィクターが幾分か重々しい口調になった。


「俺はお前の母親に会ったことが、多分ある」

「――ッ!」


 俺は立ち上がりそうになるのを堪えた。

 持って回った言い方がひっかかる。


「……多分か。歯切れの悪い言い方だな」

「後から思えば、あの人がお前の母親だったのではないかと……そう判断できただけだ。つまりお互いに予期せぬ顔合わせだったということ」

「ばったり会った、ということか? でもまぁ、この国の貴族なら、どこかの社交場やらで会ったことくらいはあるだろう」


 言っているうちに、俺は冷静さを取り戻した。


 思えばある程度以上の年齢なら、俺の母親と顔見知りだったのはあり得る。

 近況を知る人間は少ないだろうが、過去は――。


 だが、次のヴィクターの言葉に俺は衝撃を受けた。


「……会ったのはザンザスだ。一時期、お前の母親は冒険者としてザンザスにいたんだ」

お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ……んん?ザンザスで冒険者していた?
[一言] シュガーの思い人?٩ (ºㅁº)۶
[良い点] 更新ありがとうございます♪ 呼称『コカ博士』に確定ですね、メモメモ…φ(..) 某ゲーム『集合!動物森』でも大まかな性格設定されてますしね~ コカトニアの村も親子3代で遊べるようなシリ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ