表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

478/834

478.コカ博士の野望

「とにかく、俺とコカトリス達は向かい合っていた。洞窟の入口と奥で――少しして、コカトリスの群れから1体の雛コカトリスが歩いて出てきた」


 ヴィクターがお腹をごそごそして、テーブルの上にコカトリスのぬいぐるみをぽんと置いた。


 雛コカトリス……のつもりらしい。


「雛コカトリスはぴよー? と、てくてく俺の方に歩いてくる。俺はそれをじっと見つめていた。どうしたらいいか、わからなかったからな」


 ヴィクターは羽でコカトリスぬいぐるみをスライドさせている。


「それで……?」

「うむ。雛コカトリスは俺の足元に寄りかかってきた。こんもりしてて、可愛らしかった……。気が付くと俺は、コカトリスに囲まれてぬくぬくと洞窟で休んでいた」


 なるほど。

 コカトリスとのぬくぬくを選んだわけだな。


「安らぎだった。エルぴよには言うまでもないだろうが……コカトリスに触れ、その温もりを満喫したんだ……」

「それがきっかけなんだな……」

「そう、一眠りした俺はすっきりしていた。雨も上がっていた。俺は他のコカトリスを起こさないように洞窟を抜け出した……驚くほど不安も焦りも消えていた」


 またヴィクターはストローで紅茶を飲んだ。


「不思議なもので焦りが消えると、成績も魔法も安定した。そうして俺は――魔物学を本格的に学ぶ道に入ったのだ」

「コカトリスが恩人、そういうことか」

「ぴよにはヒーリング効果がある。疑いはない。その浄化の力は物質的な汚れから、精神的な疲れにまで幅広く効果があるのだ」


 どこかの通販番組みたいな語り口だ。


「とまぁ……これが俺の話だ」

「大体はわかった……それだとコカトリスにもハマるだろうな」


 うんうんと俺は頷く。

 ハマり方が半端でないことには目をつむるが。


「もちろんコカトリスにはファンが多い。最近ではやはりザンザスからレベルの高い品が数多く出ているからな」

「レイアがギルドマスターになってから、相当力を入れていると聞いた」

「実際、見事なことだ。だが、まだまだコカトリスグッズには余地がある」


 そう言うと、ヴィクターがお腹から小さなぬいぐるみを取り出した。


「んん……?」


 ヴィクターが今着ている、特別製着ぐるみによく似たぬいぐるみだ。

 少し賢そうな外見である。


「『コカ博士ぬいぐるみ』の試作品だ。どうだ?」

「自分の着ぐるみをグッズに……?!」

「ふふ……博士キャラとして、各地に出没してきたからな。ある程度の知名度は確保できている。つまり、売上の見込みもある」

「いや、俺が言いたいのはそういうことではなく――どういうつもりなんだ?」

「フィールドワークには金がかかる。事前の調査、現地で案内人を雇う、コカトリスへのおやつ……全て自費でやっているからな」

「家の金は使ってないのか」


 ヴィクターがずいっと身を乗り出した。


「これは俺のライフワークだ。ゆえに博士キャラで稼いだ金しか使ってない。しかし、それだと中々安定しない……規模を広げるのも不可能だ」

「そこは線引きをしているんだな」

「ルイーゼに色々と話を呑ませるにも金を使った。だが、お前と会えたのは良かった」

「……?」


 なんだ?

 一瞬、嫌な予感がした。


 ヴィクターがごそごそとお腹から、また小さなぬいぐるみを取り出す。


「……」

「やはり男だけだとバランスが良くない。このほうが断然良い。そうは思わないか?」


 ヴィクターが取り出したぬいぐるみは俺を――エルぴよを模したぬいぐるみだった。

前にもお伝えした通り、コカ博士で統一するんだぞ。

よろしくお願いしますなんだぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧


お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「僕と契約してキャラクターグッズになってよ」ということですか
[一言] コカ博士(´・ω・`)エルぴよを道連れに・・・ しかも(´。nωn。`)自慢気(*´∇`*)
[一言]  読者ぴよ「大変な事実に気付いたぴよ…下のバナーの表紙にぴよ皆無ぴよ!」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ