465.ショック
「倒したか……!?」
俺の言葉に、きりっと起き上がったステラが答える。すでに黄金のオーラは消えていたが。
ナナの雷撃も消えているな。
「ええ、手応えはばっちりです……!」
「ウゴ……かあさん、雷が当たってなかった? それは大丈夫?」
「大丈夫です……! 黄金なときは防御力も上がってますので!」
「……タフですわ」
ふむ、星クラゲのボスは完全に撃破したようだな。
ナナが触手を放り投げる。
「やれやれ。意外とタフなのはボスも同じだ。まさか最大出力でも動けるとはね……」
「ありがとう、ナナ。それでも効果はあったと思うぞ」
「はい、おかげでベストタイミングで飛び込めました!」
「どういたしまして」
ナナが羽をふっと上げる。
ステラがにっこりとそれにハイタッチした。
微笑ましい光景だな。
……ん?
「これは……」
魔力の流れが変わった、のか?
わりとすぐに変化が起きるんだな……。
魔力がゆったり、遅くなったような気がする。
ボスを倒したからだろうか。
「エルぴよも気が付いたか。やはり今のやつがボスで合っていたようだ。魔力の流れが弱くなっている」
「……ということは、ダンジョンにショックを与えていいということだな」
「その通り。もうダンジョンは不安定になっている。あとは俺達がショックを与えれば……崩壊する」
ぴぴぴぴこここ。
ヴィクターの羽が高速で上下する。
「よし、それじゃ持てる魔力をぶつけるぞ……!」
「ウゴウゴ、了解!」
星クラゲの群れもいるが……こちらも動きが鈍くなっているな。魔力が弱まった影響を受けているようだ。
やるなら、今だな。
ステラ経由で話を聞いたコカトリス達が、ぴよっぴよと頷いていた。
「ぴよ……!」(派手にたぷを燃やす時がきた……!)
「ぴよよー!」(がんばるぞー!)
呼吸を合わせて、魔力を解放する。
やることはそれだけだ。
細かな理屈はいらない。
ただ、全力で地面に魔力を叩きつけるだけだ。
合図をするのは、ステラだ。
ステラを中心にして円陣を組む。
「それでは……いきます! さん、にー、いち! 今です!」
カッ――!!
各々が魔力を全開にする。
俺とヴィクター、ウッドは緑色の魔力。ナナは黒色、ジェシカは青色、ステラは黄金の魔力を放っていた。
これは魔法の適性で変わるらしいが。
……ちなみにぴよはカラフルな七色の魔力をぴかぴかーと放っている。
ド派手だな……キレイだけど!
激しい魔力が荒れ狂い、ダンジョンへと叩き付けられた。
……そして、視界がぐにゃりと歪んだ。
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