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463.逆手に取る

 ステラはバットを構えた。

 さらに黄金のオーラをまとう――必殺の構えである。


「逃しません……!」


 距離は数十メートル。

 地上なら一瞬と言える距離である。


 ステラの眼には、すでに行くべきルートがはっきりと見えていた。


「ぴよ……」(クラゲを踏み台にしてる……)

「見てて下さいね……!」


 普段、ステラは注目されることを好まない。

 しかしエルぴよちゃんとウッドとぴよちゃんは別だった。

 体の奥から力が湧いてくる。


 ぐっと星クラゲを踏みつけ、さらに高く跳躍する。


 もし落ちれば、あっという間に星クラゲに群がられることになるだろう。

 それはつまり、ボス個体を逃がすことを意味する。


「……いきます!」


 だが、その前にボス個体に動きがあった。

 ぶるぶると震えて触手がうごめいている。


 ボス個体の触手は長い。

 10メートルはあるだろうか。


「ウゴウゴ、もうちょっとー!」


 近くの星クラゲが触手を伸ばすも、ウッドの投石で撃墜される。

 ナイスアシスト。


 間もなく、触手が届く距離に入る。

 最後の星クラゲを踏みつけ、あと一歩。


「ステラ、ボス個体が……!」


 だが、ステラの攻撃の前にエルトの声が飛ぶ。


 ボス個体の触手がぶわっと空を舞い、ステラへと向かってきた。

 逃げられないと悟り、反撃に転じてきたか。


 触手の数も多く、しかも長い。

 ステラの攻撃はまだ全く届かない。


 さらに空中で回避している余裕はなさそうだった。


「それなら……!」


 ステラは瞬時にプランを切り替える。

 百戦錬磨のステラは知っていた。柔軟性こそ、勝利には必要なのだ。


 向かってくる触手に対して、バットを軽く片手で振り抜く。

 星クラゲはまずバットを目指して触手を動かしてきた。


「そう、来ますよね……!」


 ここまでは読み通りである。

 星クラゲの知性では、まず動くものに攻撃を仕掛ける。


 そして星クラゲの攻撃方法はただひとつ、触手のみ。それを逆手に取る。


 ぐっとバットに触手が絡まっていく。

 ステラの魔力が宿ったバットに、触手は刺さらないが。


 そのまま触手がバットを伝ってステラを刺しに向かってくる――その瞬間。


 ステラはバットを握る手に渾身の力を込める。


「ナナ! そちらに投げます!」

「はえっ!?」

「雷撃で焼いてください!」

「お……おうっ!」


 一瞬戸惑ったナナだが、すぐにステラの意図を察して応じる。

 その辺りはやはり超一流の冒険者だ。


「よっ……せーい!!」


 ステラはぎゅんと腰を回し、大振りにバットを振るう。

 触手が巻き付いた星クラゲにできることはない。

 なすがままである。


 そのまま――ステラはぐぐっと触手ごと、フルスイングするのであった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 黒い三連星...ジェットストリームアタック...頭の中で何かが...
[一言] エルぴよになら注目されたい・・・ラブがあるからなぁ(๑ºㅅº๑)
[一言] 突如の無茶振り(ジャイアントスイング) からの健康器具攻撃 果たしてフィニッシュまで決まるのか
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