462.ステラ砲
「もうちょい、もうちょい右へ! そうです……! そしてくいっとひねりを!」
俺はステラの指示どおりに大樹の腕を操作している。
……こころなしか、ボールを握って振りかぶっているような形になっていた。
まぁ、ボールの場所にいるのはステラだが。
「……ウゴ」
「だ、大丈夫だ。ステラなら無事に――飛んでいくから!」
何を口走っているのか、俺もよくわからん。
「ウゴ、そうだね……」
「問題ありません! エルぴよちゃんの制球力は信頼していますので……!」
星クラゲのボスはゆらゆらと飛んでいる。
果たしてうまくあそこにステラを投げられるのか……?
「合図のタイミングで最大パワーで投げてください……!」
「……わかった!」
ぐっと魔力を込める。それに合わせて大樹の腕が振りかぶった。
「ぴよよ」(ライト、追いまーす)
コカトリスがステラを照らしている。
……スポットライトが当たっているみたいだな。
「さん、にー、いち! いまです!」
「うぉぉぉぉっ!」
思い切り魔力を解放する。
大樹の腕がぐわんと素早く動き、ステラをボスに向かって投げつけた。
バシュン……!!
はやっ。
自分でもちょっと引くぐらいの勢いがでた。
「ぴよっ!」(はやっ!)
「ぴよー!」(逃すなー!)
幸いにもコカトリス・ライトがぴったしステラを照らしている。
ステラが星クラゲの群れに突っ込んで――あっ、だめそう……その角度は。
「えええいっ!」
ステラが叫びながら空中で足を蹴り出す。
「えっ……?!」
「とうっ、ここです!」
ぼいん。
ステラが足を蹴り出した先は、星クラゲの傘だ。
そのまま勢い良く星クラゲを足場にする。
「えいっ! やぁ! とうっ!」
そのままステラは連続で星クラゲから星クラゲへと飛び移るようにしていく。
「ウゴ、はじめからあのルートが見えていたみたいな……」
「だろうな。勢いを残して……迫っている」
他の星クラゲを踏み台にして、ステラは着実にボス個体へと肉薄していく。
ボス個体が遠ざかるよりも――ステラのほうが断然、速い。
確かにこのルートが見えていて、実行できるなら問題はない。
ステラしかいなさそうだが……。
そして、なにげにコカトリス・ライトがちゃんと追いついている。
闇の中でも、わちゃわちゃした星クラゲの群れの中でもしっかりとステラを追いかけていた。
うむ、なんだろう……スポーツ選手の激しい運動をしっかり捉えている、みたいな……。
すちゃ。
「あっ、バットを構えましたわ……!」
「もう……すぐだ」
ステラが近づいたおかげで、距離が掴みやすくなった。
おそらくステラからボス個体まで30、40メートルくらいか。
もう間もなく接触する距離である。
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