表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

448/834

448.神殿の中へ

 俺はとりあえずステラへ頭を振った。


「いや、何でもない……」


 俺が動けないでいる中、ナナがすーっと神殿の外壁に近寄っていく。

 強烈なライトで、外壁がますますはっきり見える。


「彫刻は……古代っぽいね。デザインはかなり古い。建造の年代はすぐにはわからないけど、500年は昔だろう」

「凄いですわ……」


 ジェシカも海底から神殿を見上げている。

 コカトリス達も目をぺかーしながら、見上げていた。


「ぴよ……」(古め……)

「ぴよよ……」(とってもビッグ……)


 ……。

 神殿に近寄り、ぺちぺちしてみる。


 質感、彫刻の位置やデザイン……。

 やはりゲームの中と同じだ。


 だが近寄ってよく見ると、つもったチリがかなり多いな。

 さらに思い出してきた。


 ゲームの中の海底神殿はもっと浅瀬にあった。

 海面から光が届き、珊瑚に囲まれたきらびやかなエリアだったはずだ。


 目の前の海底神殿は……位置として深すぎる。

 光も届かないし、珊瑚も何もない。


 ……わからん。

 なぜゲームと同じ建造物がここにあるのだろうか。


「この神殿が気になるのか」


 いつの間にかヴィクターが隣に来ている。

 俺は率直に答えた。


「……はい」

「あのタコの彫刻はダゴン種、イカの彫刻はクラーケン種だな。そしてリヴァイアサン……。古くから強大な海の魔物として悪名高い。この神殿は海の平穏を祈って建てられたものだろう」

「似たような遺跡を見たことが……?」

「俺はこの着ぐるみを着て、色々と飛び回っているからな。当然、いくつもある。……どうした?」

「いえ……」


 俺の心臓がどくどくと音を立てている。

 この遺跡と同じような――他にもあるのか?

 ゲームと同じ建物が……。


「…………」


 自分でもわかる。動揺している。


 俺はこの世界と前世でのゲームを……魔法やスキル、魔物や人種といった物だけが共通していると思っていた。それ以外の地理や歴史、人物には全く共通点がないのだ。


 あたかも世界のシステム面だけを持ってきたような……そんな風に理解していた。

 でもそれは間違いなのかもしれない。


 ステラがじっと俺を心配そうに見つめる。


「……本当に無理をされていませんか?」

「あ、いや……問題ない。心配をかけたな」


 俺は思考を打ち切る。

 やめよう、今考えても仕方ない。


 とりあえず星クラゲをどうにかしないとな。


「そろそろ入ろうか」


 海底神殿は円柱が支える形になっている。

 特に扉みたいなものはないな。


 そのまま、柱と柱の間を進めばいいだけだ。

 この点もゲームと同じだな……。


 と、少し中に入ると――ぐにゃりと立ちくらみがした。めまいがする。


「……?!」

「エルト様……お気をつけくださいっ!」


 ステラの鋭い声に続き、ナナも声を上げる。


「ダンジョン化してる! 油断しないで!」


 良かった、めまいはすぐに薄れてくる。

 視界がひらけてきた。


「……これがダンジョンか」


 俺の目の前には、ジャングルが広がっていた。

「不安なときはコカトリスのお腹を揉むといい。ヒーリング効果がある」


……?!✧◝(⁰▿⁰)◜✧


「もしコカトリスのお腹を揉めないときは……ぬいぐるみでも構わない。精神の均衡を保つのに役立つ」


……?!✧◝(⁰▿⁰)◜✧


博士はいつも揉んでるんだぞ……?


「ふっ、大人になってからは控えているがね。子どものときはよく揉んだものだ」


レイアは今も揉んでるらしいんだぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧


「むっ……俺と同じマインドセットに……? なるほど、やはり中々できるな……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……もしかしたらゲーム時代のアイテムが!?
[一言] なんか核心に迫ってきた感じ?
[良い点] お腹だけじゃなく全ぴよヒーリング効果があるのでは? (日本語訳:いいから揉ませれ) [一言] シリアスで重要なシーンなんだけど、見た目はリボンが可愛いエルちゃんなんですよねぇ…(・∀・`)…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ