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445/834

445.決戦の朝

 ヒールベリーの村。


 ナールは置かれたオーブン焼きをふーふーしながら食べている。


「にゃー。つまりウチの実家に、過去の冒険者のメモがあったのにゃ」

「へぇ〜……そういうの、残ってるモノなんすね」


 シュガーもグラタンをもぐもぐしながら応じる。


「ザンザスの仕組みが整ったのはステラが来てから……それ以前はマジでヤバかったみたいですし」

「そうみたいにゃね」


 ステラが来る前のザンザスは、本当に村レベルの大きさしかなかった。それを安定した探索ができるようにしたのがステラである。

 それからザンザスは急激に発展し、大都市になったのだ。


「ブラックムーン商会はあちしのおじいさんからだけど、元の流れはもっと古いにゃ」

「何代も続いているって言ってましたもんね」

「そうにゃ。実家の倉庫を整理してたら出てきたみたいにゃ」

「歴史モノですねぃ……」


 シュガーはふふっと微笑む。


「ま、俺で手伝えることがあったらやりやすからね。気軽に言ってくだせぇ」

「ありがとうにゃ……!」


 そう言うとナールはオーブン焼きをそっと小皿に取り分ける。


「にゃー……ちょっと交換にゃ」

「いいですぜ!」


 オーブン焼きとグラタンを取り分けて交換する。

 仲睦まじく二人は夜ご飯を食べるのであった。


 ◇


 港の宿舎。


「んむ……」


 つんつん。

 頬に指先の感触がある。


 これは……ステラか。

 俺は小声で彼女に答えた。


「……おはよう」

「おはようです……ふふ」


 ステラが俺の顔を覗き込んでいる。

 楽しそうだな。


「まだ早いですけれど……今日はなんだか早起きでした」

「そうか……」


 俺の胸元にはディアとマルコシアスがいる。

 すぴーすぴーとまだ寝ているな。


「ぴよぴよ……」(もっしゃもっしゃ……)

「ぴよ……」(幸せ……)


 宿舎の部屋の半分はコカトリスでみっちり埋まっていた。海ぴよには昆布が巻き付いている。


 昨日、海藻がお気に入りだったので寝る前に渡しておいたのだ。

 そのほうが海の雰囲気が出てよく眠れるかと思ったし。


「食べてるな……」


 巻き付いた昆布はかなり減っていた。

 どうやら寝ている間に食べていたらしい。


「ぴよぴよ……」(もぐもぐ……)


 昆布がコカトリスの口の中に吸い込まれていく。

 食べてる。めちゃくちゃ食べてるな。


「ま、まぁ……おやつみたいなものか」

「そうですね、すやすや寝ているようですし」


 そこでステラの目がすっと細くなった。


「今日は気合を入れないと……」

「ああ、海底神殿に行かないとだからな」


 ふにふに。

 ステラの指がまた俺の頬をつんつんする。


「……どうしたんだ?」

「着ぐるみの前に触れておこうかと思って。いえ、もちろん着ぐるみエルちゃんも最高ですが……」


 お、おう。

 時計を見るとまだ時間はある。


 そのまま少し、ステラは俺にスキンシップをしたのであった。

昆布はヘルシーな食材なんだぞ!✧◝(⁰▿⁰)◜✧


お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 熱々ご飯に塩昆布で朝ごはん……。
[一言] 夜食を食べつつスリーピングぴよ 器用……器用?
[一言] 昆布は美味しいけど、昆布ってか海藻類を消化出来るのは日本人だけなんだっけか。
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