表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

441/834

441.ほっかほか

 もみもみ。


 ディアがマルコシアスの顔を羽でもみもみしている。


「あったか、あったかぴよよー」

「ほかほか、ぽっかぽかーだぞ」

「魔力的なアレをコレするぴよよ!」

「するんだぞ!」


 盛り上がっているディアとマルコシアス。

 俺は隣のステラにひそひそ話しかける。


「……ステラの知識でもマルコシアスは、色んな属性を付与してたか」

「魔王の配下との戦いではそうでしたね。槍や爪に炎とか氷とか……」


 ふむ、それはゲーム中と変わらないな。

 やはり同じ戦い方をしていたようだ。


「ところで前から気になっていたが……その魔王ってどういう人物なんだ?」


 ステラが不朽の英雄となったのは、魔王と相討ちになったからだ。

 その魔王自体、ステラと同じ数百年前の人物だが……。


「……うーん、ヒトだったんですかね? なんとなく、あんまり生きている感じはしませんでしたが……」

「ん? それって……アンデッドとか?」


 この世界にもアンデッドは存在する。しかしかなりレアな存在らしいが。


「いえ、それよりはゴーレム的というか。なんだか生気は感じられませんでしたね」

「ふぅん……?」


 俺はぴよっと首を傾げる。


「わたしも会ったのは一度きり、討伐のときだけです。それも数十分だけですし」

「そういえばそうか……」


 前にちょっと聞いた話では、ステラとマルコシアスは魔王を難なく追い詰めたらしい。

 魔王は召喚魔法と魔法具を極めていた。おそらく局面を打開する何かを呼び出そうとしたのだろう。


 だが、それは大失敗した。

 魔力が大暴走して魔王城ごと吹き飛んだのだ。


 そしてステラは巻き込まれて重傷を負って、ペンダントを使い――木の像になった。


「本だとマッドサイエンティストみたいな書き方をされてるよな。経歴もよくわかってないみたいだし」

「わたしも知らないですね……。捕まえるために乗り込んだら、最終的に自爆してしまったので」

「よしよし……」


 ぽんぽんとステラの頭を撫でる。


「本当によくわからない人物でした……。なんだか得体のしれないモノに成り果てていたのかもしれないですね」

「そうか……。ありがとう、話してくれて」

「……大丈夫です」


 ステラがそのまま俺の膝に頭を乗せた。

 ……着ぐるみの部分だが。ふもっとした、お昼寝推奨部位である。


「よし! なんだかイケる気がするんだぞ!」

「そのいきぴよ!」

「だぞー!」


 マルコシアスが叫ぶと、ディアがぴよっと片脚を上げた。


「ほかほかしてるぴよよ! 火のマルちゃんぴよ!」

「やったんだぞ!」

「お風呂のお湯くらいの温かみぴよね!」

「魔力バンザイだぞ!」


 ステラは俺の太ももに頭を横たえている。


「良かったですね……」

「……あったかマルちゃんの誕生のようだな」

「ええ、一歩一歩です……!」


 ディアとマルコシアスが波打ち際を行ったり来たりしている。


「ほっかほかマルちゃんーぴよー」

「だっぞだっぞー」


 ざぶーん。


「あったかぴよねー」

「だっぞだっぞー」


 ……ふむ。


 クラゲ討伐の役に立つかも、と一瞬思ったが……。


「冬場にはほかほか、良さそうだな」


 まぁ、役に立つことが全てではない。

 ちょっとずつ思い出していくのが、大切なのだ。

抱き枕としての性能がアップしたといって、過言じゃないんだぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧


お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] マルちゃんへ、自分自身であったか抱き枕を自称するのは如何なものかと…。
[一言] 天然湯たんぽ?(〃゜д゜〃)
[良い点] あったかマルちゃん…持って帰っていい?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ