436.一休み
「そ、そんな……トラウマだなんて。こう、ぱっこーんしただけで……」
ステラはふにゃふにゃ言いながら、しゅばっと手刀を振り下ろした。
……速くて見えづらかったが、多分そうだ。
ブワッ……!
そこそこ力が込められていたのだろう。
風が巻き上がる。
再びクロウズとルイーゼが顔を見合わせる。
「……残像が……」
「見えなかったな。そんな感じでぱっこーんしたのか……」
「うぅ……」
よしよし。
俺はステラの頭をもふっとハンドで撫でる。
「ありがとうございまふ……」
「気にするな」
「ぴよの柔らかさと磯の香りがします……」
ルイーゼが空を見上げて、こほんと咳払いする。
「ま、星クラゲの掃討は一段落だ。もう昼だし、続きは飯を食べてからだな」
「……海底神殿は?」
「大きな巣があると思いますわ」
「少なくとも、今日は手を出さない。とりあえずの目的は星クラゲだけどな……」
確かにやるなら、腰を据える必要がある。
と、レイア達も俺の乗っている船にやってきた。
ディアとマルコシアスもだな。
てててーとディアとマルコシアスが駆け寄ってくる。
かわいい。
「ぴよよー! おつかれさまぴよー!」
「お疲れ様なんだぞ!」
二人を見たステラがぱぁっと顔を輝かせて、二人を抱き上げる。
「お疲れ様です……!」
「ウゴ、お疲れ様!」
俺はディアとマルコシアスを撫でながら、
「ありがとう、二人こそ疲れてないか?」
「大丈夫ぴよよ!」
「まだいけるんだぞ!」
ふむ……テンション高いから、疲れに気がついていないパターンかも。
でも、お昼で休めば気分転換にはなるか。
「わふ……海コカトリスも集まってるんだぞ」
「ん? そうなのか?」
甲板から海を見下ろすと、海コカトリス7体がぷかぷかと浮かんでいた。
羽には……俺の生み出した海藻を持っている。
「ぴよよ……!」(海藻がたくさん……!)
「ぴよっぴよ!!」(上質なご飯の予感!!)
「……ぴよ」(……じゅるり)
物凄く食べたそうだな。
昨日は野菜と果物だったが……やはり海藻類も食べたいのだろう。
「……食べてもいいと伝えてくれ」
「わかったぴよよ!」
ぴよぴよぴよぴよ。
ディアと海ぴよが高速ぴよ言語でやり取りすると、海ぴよ達はかなりの勢いで海藻を食べ始めた。
もっしゃもっしゃ。
「ぴよー!」(おいしー!)
「ぴよぴよ〜!」(海の味〜!)
ふむ、海ぴよ達は満足しているようだな。
ばくばくばくー! と食べている。
「良い食べっぷりですね……」
「そうだな……。海藻類は初めて生み出したんだが」
村では海がないからな。湖にも水草を生やしたりはしてないし。
「俺達もご飯を食べるとしよう」
「はい……!」
何人かは海ぴよのご飯シーンを網膜に焼き付けたんだぞ(。•̀ᴗ-)✧
お読みいただき、ありがとうございます。