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435/834

435.近海のヌシ

 俺達にできる星クラゲへの対処はほぼ終わった。

 ……海面にたくさんの星クラゲがまだいるが、それは船乗り達に任せよう。


 ステラもやっと回転を止めた。


「ふぅ……! ほとんど、いなくなりましたね」

「ぴよ!」(すとっーぷ!)


 コカトリスも回転をやめる。

 かなりのドヤ顔だ。ぴよ的にも満足したらしい。


「よしよし、いい子です!」

「ぴよよ〜!」(たぷも回って燃えた感!)


 ステラがぽむぽむとコカトリスを撫でる。海中だが、毛並みはベタついていないらしい。

 マジカルボディだ。


「エルちゃんもお疲れ様でした! 結構、逃してたんですね……」


 海藻のカーテンには大量の星クラゲがひっかかっている。


「いや、後半はステラを避けてこっちに来てたからな。ある程度の危機回避能力はあるらしい」

「ウゴ、こっちでもそう! 網にかからなくなるやつがいた!」

「その辺りも検討しなくてはいけませんわね」

「そうだな。……とりあえず一旦、戻るか」


 海面では船が集まって星クラゲを引き上げている。

 海底から星クラゲはもう来ない。

 さしあたり、このポイントでの星クラゲは一段落したと見てもいいだろう。


 ◇


 船に上がると、ルイーゼが待ち構えていた。

 とりあえず海中で見た出来事を報告する。ジェシカからも話は行っていると思うが……念の為だ。


「……なるほどな。はぁ〜……凄い話になってきた」


 クロウズもやや前のめりになっている。


「頭に傷のある、大リヴァイアサン……それに海底神殿! なんと……」

「……何か知っているのか?」

「間違いありません、その大リヴァイアサンはこの近海のヌシでしょう。何百年も前から目撃情報があります」

「ああ、この辺りで最強の海の魔物だろーな」


 ルイーゼが重々しく頷く。


「ほうほう……」


 タオルで体を拭き終えたステラが素知らぬ顔をしている。でも耳がぴくぴく動いているな。


「でもあのヌシは、人や船には近付かないはずなんだがな……。そうだよな?」

「その通りです、ルイーゼ様。リヴァイアサンの群れを率いてはいますが、こちらとはあまり関わり合いにならない……。先代からもそう、聞いていますが」

「ほうほう……」


 ……。

 もしかして、それって……。


「それが人前に姿を見せて、神殿に案内した? よくわかんねーなー……」


 ……。


 俺がしゅっと羽を上げる。


「実はそのヌシ、前にステラが頭をぱっこーんしたリヴァイアサンらしいんだが」

「は?」

「えっ?」

「いつの話だよ、それ」


 ステラが観念したように答えた。


「……数百年前ですが……」


 ルイーゼとクロウズが顔を見合わせる。

 マジなの? という顔だ。


「まさか……そんなことが? しかし……」


 その時、ジェシカが船乗りの指導から戻ってくる。


「あのリヴァイアサンの妙な動きは、私も気になりましたわ。何らかの因縁があると考えれば……あり得ますわ」

「……だとすると、こーいうことか?」


 ルイーゼがステラをじっと見た。


「この近海のヌシに、トラウマを植え付けていた……と!」

……母上っ!?✧◝(⁰▿⁰)◜✧


お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] トラウマ…334…334 なんでや!それは虎やろ!
[一言] トラウマ・・・(¯∇¯٥) お兄ちゃん来る前に終わっちゃった感じ?(〃゜д゜〃)
[良い点] 更新ありがとうございます!! 水中では最強(コカトリスを除く)で最大のリヴァイアサンも、うっかり飲み込んだ星クラゲの毒が直接体内に…とか、全身に張り付かれたり…とか、「対処方法が無い!」…
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