414.みんなでこねこね
宿舎の部屋はコカトリスでみっちりしてきている。
とはいえ、かなり広い部屋だったからな。
コカトリスが合わせて9体でも……うん、大丈夫だ。ふわもっこだし。
「……狭くないか?」
「ぴよ! むしろ新鮮みたいぴよねー!」
「わふ……ずっと街中も目を輝かせてきょろきょろしてたんだぞ」
「ああ、そうだったな……。環境が変わっても問題なさそうか」
街中ではルイーゼ達と詰めの話をしていた。
正直、コカトリスならステラやディアのほうがよく見知っているからな……。
「ぴよちゃんは好奇心が強いですし、環境の変化にも強靭ですからね」
「ウゴ……窓にぴっちり並んでるね……」
そう、コカトリス達は窓に張り付いて外を眺めまくっていた。
「ぴよ……」(高い……)
「ぴよよー……」(こんなんだー……)
「……ぴよー!」(……びゅーてぃふぉー!)
それを後ろからぴよぴよしてるのが、ヒールベリーのコカトリスだな。
お互いのお腹を揉み揉みしてるし。
「ぴよよー」(もみもみー)
「ぴよ? ぴよよ?」(どう、たぷ燃えた? たくさん燃えた?)
「ぴよっぴ! ぴよ!」(ミリ燃えた! ぶっちゃけあまり変化なし!)
「ぴよよー!」(やっぱりいきなりは減らないかー!)
「ぴよ〜」(減らないよね〜)
「「ぴよぴよぴよ!」」(あははっはー!)
……楽しそうだな。
「では! 草だんごを作るです!」
「おおっ、やろうやろう」
材料のセットを終えたララトマが声をかけてくれる。
これは今のところ、ウチの秘伝だからな。
「そろそろ着ぐるみを脱いで、俺も準備するか」
「えっ」
ステラがぎょっとする。
「……さすがにこの羽じゃ、こねられないだろう」
「そ、そうですね。ええ……そこまでの機能はありませんでしたね」
「改良点だぞ」
「ナナに要望を出しておきましょう」
「……お、おう」
というわけで着ぐるみヘッドをかぽっと外す。
「ふぅ……」
残りの部分も脱ぎ、床に置いておく。
後で洗いに行こう。
「じゃあ、草だんごをこねようか……!」
◇
テーブルに集まり、一心不乱に草だんごをこねていく。
こねこね。
こねこねこね。
ディアは脚でこねこね、マルコシアスは少女姿になってこねこねしていた。
久し振りにこの姿を見たかもしれない。それくらいのレアな姿になりつつあるな。
「ぴよっぴよー」
「ふぅ、ふぅ……こねこねなんだぞ」
「ウゴ……息が上がってる……。最初に飛ばすと持たないよ……?」
「あ、ありがとうなんだぞ……ふぅ」
マルコシアスが一旦手を止める。
「でもマルちゃんも成長してきてるぴよ! 前よりちょっと息が続いてるぴよね!」
「そう……なんだぞ?」
「そうぴよ! あたしの目はちゃんと見てるぴよ!」
「うぅ、我が主……!」
この光景を俺とステラは和やかに見ていた。
「材料は……結構あるな」
「私とコカトリスのおやつ用でたくさん持ってきたのです!」
ララトマはさすがの手際だな。
どんどん草だんごをこねこねしていく。
……ひょいぱくをしないのは、ウッドがいるからか。ふむふむ……。
「わたしも負けられませんね……!」
「そうだな、せっかく来てもらったんだし……お腹いっぱいになってもらいたいからな」
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