413.宿舎へ
「ぴよよ……!」(お世話になります……!)
リーダーコカトリスが羽をパタパタさせる。
他に6体のコカトリスが船に乗り込んできた。
一気にぴよ率が高まったな。
「おはぴよ! 陸地までは少しかかるから、のんびりするといいぴよよ!」
甲板を歩くディアが羽をぴっとあげる。
レイアはナナに介抱されているな。
「……ぴよちゃんが、こんなにたくさん……」
「どうどう。抑えて、抑えて」
「うぅ、代わりにナナの着ぐるみをもふもふします」
「もうしてる。まぁ、いいや。好きにして」
「はぁ……幸せです」
レイアはそういう反応をすると思った。
予想通りである。
ヒールベリーのコカトリスもぴよっと挨拶に来る。
「ぴよよ〜!」(おっは〜!)
「ぴよよー」(おっはーです)
「ぴよっぴよ? ぴよよ!」(大丈夫〜? ゆっくりくつろいでいってね!)
「ぴよぴよー」(ありがとうー)
「ぴよ! ぴぴよぴよ……」(どういたしまして! それじゃ、挨拶の毛づくろいでも……)
「ぴよー!」(はーい!)
コカトリス達は集まって毛づくろいを始めている。
甲板に寝転がったコカトリスを他のコカトリスが撫でたり揉んだりしておるのだ。
「良かったですね。仲良くなれそうです」
「ぴよぴよしてるんだぞ」
「ウゴウゴ、大丈夫そう……」
「ぴよちゃんはいい子達ばかりですから……!」
おっと、そうだ。
「陸に上がったら草だんごを作らなくちゃな」
「はいです!」
ステラも意気込んで頷く。
「私もやります……! しゅばばっと作りますね!」
「ぴよ! あたしも頑張るぴよ!」
「我もやるんだぞ!」
「ウゴウゴ、皆でやろう!」
家族のみんな、やる気のようだ。
「そうだな、新しいコカトリスのために」
「「おー!」」
◇
陸地についた俺達はさっそく宿舎に戻る。
本当は会議とかあるが俺達は免除だ。
ルイーゼが宿舎の前までついてくる。
「海コカトリスから情報ゲットするのが優先、そーいうことだ」
「わかった。星クラゲは?」
「ぴよ博士は魔物全般の知識に詳しい。サンプル、それに海中で見た様子から作戦を練り直さねーと」
レイア、ジェシカ、ナナは会議に行くらしい。
「ギルドマスターですし、知識面で役に立てればと……。海ぴよちゃん達をよろしくお願いします!」
「星クラゲなら結構倒してきましたわ! ちょっとしたコツがあるのですわ」
「僕も魔法具面で協力できるところがあると思う。リヴァイアサンと星クラゲじゃ、武器も変えたほうがいいからね」
ルイーゼが空の太陽を見上げる。
今はちょうどお昼を少し過ぎたくらいか。
「夜には一度、情報をまとめるぜ。それでいいか?」
「異存ない」
「昼ご飯はどうする? 届けさせようか? コカトリスは何食うんだよく知らねーけど」
ルイーゼの気遣いはありがたいが、今のところは問題はないな。
俺の魔力もまだかなり余裕がある。家族とコカトリスのご飯はいくらでも作れる。
「いや……大丈夫だ。食べるものは植物魔法で作り出せるからな」
「海コカトリスを陸地で観察するまたとない機会だが……今は我慢だ」
……我慢してたんだぞ✧◝(⁰▿⁰)◜✧
「いずれ、機会はあるだろう。焦りすぎないのもまた、研究には不可欠なのだ」