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410.星クラゲのサンプル

「あれは……この辺りで、星クラゲが……ザザー」


 クロウズの戸惑う声が聞こえる。

 どうやら彼にとっても星クラゲは想定外のようだ。


 ゲームの中ではどうだったろうか。


 ……そう、思い出してきた。

 星クラゲは深海エリアの魔物で、浅瀬や浜辺の魔物ではなかった。


 一片の光も届かない深海の闇の世界。

 そこに住まう魔物のはずだ。


「リヴァイアサンは退散したみたいですわ。もっと沖合へ行ったのでしょう」

「そのようだね。……星クラゲ、多くない?」

「ウゴ、この魔物ってどういう魔物だっけ……」


 ウッドはリヴァイアサンを中心に読んでたからな。

 星クラゲとリヴァイアサンは生息域が微妙に異なる。


「ふむ、それにはぴよ博士が答えよう」


 ぴこぴこぴことヴィクターが羽を動かす。

 その羽の動きは……趣味か。


「フラワーアーチャーと同じような性質だな。つまり――タチが悪い」

「やはりそうか……」

「エルぴよも知っていたのか?」


 ぴこぴこぴこ。

 うっ、ツッコミたい。


「……栄養とかがあるとどんどん増えるタイプの魔物だろう? 最終的には生態系を大きく崩す」

「その通り。100点満点の答えだ」


 そうなると……リヴァイアサンとの関係が気になる。


「来ます……!!」


 考えようとした矢先、ステラの声が飛ぶ。


 確かにワラワラと星クラゲが光の届かない海底からどんどん現れる。

 星型でキラキラとしたクラゲ――綺麗は綺麗だがれっきとした魔物である。


 ゆったり、しかし着実に星クラゲの群れはこちらに距離を詰めてきている。


 クラゲなので思考は全然読めない。だが、こちらのやるべきことは……。


「リヴァイアサンもいなくなった。長居する意味はもうあまりないが……ステラ、星クラゲを何体か捕獲できるか? 俺も手伝う」

「わかりました! 今後のために、ですね!」


 そう、事態がどうあれ次の手がかりが欲しい。

 そのためには星クラゲを実際に倒して捕獲するほうがいいだろう。


「僕も協力するよ。サンプルって訳ね、科学的だ」

「ああ……ぱっと捕まえて離脱する」

「ウゴ、わかった!」

「いきます!」


 ステラがぐっと魔力を込めて海中を蹴った。

 弾かれたようにステラが星クラゲへと接近し、バットを振るう。


「星クラゲなら、このくらいで!」


 ステラのスイングが海を揺らす。

 それはぐわんと衝撃波となり、星クラゲへと到達した。


「〜〜!!」


 星クラゲの体がぐにゃりと曲がり、黄色が激しく明滅する。


「よいせっと!」


 ナナが虹色の鞭を取り出して振るう。

 鞭はどんどん伸びて、手近な星クラゲを絡め取った。


「茨の網……!」


 俺も範囲攻撃の魔法を繰り出す。

 これは土が不要な代わりに、腕から生み出すタイプの魔法だな。


 海中に茨のトゲ付き網が現れた。

 範囲も攻撃力もほどほどだが、丈夫で捕えるには役に立つ。


 海中なのでゆったり広がるが、星クラゲに逃げる知能はない。

 ステラが衝撃波で倒した数体を網にかけることができた。


「ほう……かなりの魔力だな」

「……どうも」


 ヴィクターは俺の現在をどこまで知っているのだろう。

 領主としてそれなりにやっていることは把握しているだろうが。


 捕らえられた星クラゲにヒールベリーのコカトリスが近付く。

 しげしげと眺めているようだ。


「ぴよぴよ……」(何かこうして見ると、黄色いのが似てる……)

「ぴよっぴ!」(輝いてないけどね!)

「ぴよよー」(まさかボクたちと見間違えー)

「ぴっよよー!」(まっさかー)

「「ぴよぴよぴよ!!」」(あはっはー!!)


 ……何か盛り上がっているが、とりあえず数体は捕まえたな。

 ルイーゼの元に戻ってもいいだろう。

星クラゲは凶悪な魔物なんだぞ?


「うーむ。実は海の深いところにいるようでな。情報に乏しい魔物だ。そういう意味ではレアともいえる」


コカトリスとの関係性はどうなんだぞ?


「良い質問だ。そう、問題はコカトリスや人間とどうかだが……。星クラゲの毒はコカトリスに通じない。それゆえ敵かどうかというのも難しい」


なるほどなんだぞ。


「しかし人間にとっては厄介だ。網にかかって他の魚に接触すると、その魚も毒に侵される。大量発生は好ましくない」


でもあんまり大量発生はしないんだぞ?


「そう、あまり聞かないな。サンプルを調べて何かわかればいいのだが」

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― 新着の感想 ―
[一言] 星クラゲは寒天とかコンニャクのような食材に変換されそうな?|ω•。 ))チラ
[一言] OH……間違えた……[可食性]のつもりが……。 ([可能]の能を消したつもりが……。orz)
[一言] エルぴよスタンド使い説浮上隠者の紫 バットスイングどころか 水中で高速移動できるなら なんの心配もありませんでしたね ぴよぴよ
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