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361.ぴよになりて

「実は、俺達――付き合うことになりまして」


 えっ。

 本当か……!


 シュガーがナールの隣で屈む。

 ちょうど目線が同じ高さになるように。

 微笑ましい。


「それはおめでとう、春先に良い話だな」

「ありがとうございますにゃ……!」

「ありがとうございます! で、そういうわけでして……」


 ああっ。

 そうか、それじゃお見合い会に参加するわけにはいかないな。


 ちらっとレイアを見ると――思いの外、落ち着いていた。


「なるほど、おめでとうございます……。当然、お見合い会は欠席ですね」

「ええ、まぁ……俺のため、というのもあったかもしれやせんが……」


 レイアが紅茶をすする。


「私とて、それなりの年齢です。なんのかんの言うつもりはありません」

「にゃ、さすがにゃ」


 シュガーがぽりぽりと頬をかく。


「でも悪いとは思ってるんですぜ? 何かできることがあれば……」

「……にゃ、義理堅いのにゃ」


 ナールがきらきらした瞳でシュガーを見つめる。

 なるほど、相性的には悪くないのか。


 シュガーにはこういう面倒見の良さがある。


「ほら、この着ぐるみとか……!」

「えっ?」


 俺は思わず声を出してしまった。

 レイアがふむ、と頷く。


「運営ぴよになってくれるのですか? 確かにあなたの気配りと身体能力があれば、プラスになるでしょうが……」

「やらしてくだせえ、俺の気が済まないんだ……!」

「にゃーん……!」


 ……ナールのきらきらは収まってないな。

 彼女的にこの流れはオッケーらしい。


 そういえばここに移住するのも、ぱぱっと決めてたよな。

 思えば一度火がつくと、ナールもアクセルを踏み込むタイプか……。


 レイアが勢い良く立ち上がる。


「……わかりました! それなら、あなたもふわもっこぴよになって、会を盛り上げるのです!」

「ええ、盛り上げますぜ……!」

「あちしも食事や飾り付けの裏方で頑張るにゃー!」

「「おー!」」


 いいのか……。

 まぁ、本人達がいいなら……良しとしようか。


「頑張ろうな」


 俺は……お金と場所提供で、特に出番ないけどな。


 ◇


 そうしてまた日が経った。

 ……今日はいよいよ、お見合い会だな。


「よいしょっと……」


 今日のステラは早い。

 ディアとウッドが目覚める前に出発するのだ。


「大丈夫ですか? どこか、おかしくありません?」

「ふむ……」


 ステラはコカトリスの着ぐるみを着ていた。

 お見合い会の運営ぴよになるのだ。


 ぴよっともふもふボディを傾けるステラは、かなり可愛い……。


「可愛い……」

「そうですか!? ありがとうございます!」


 むぎゅーっとステラぴよに抱きしめられる。


 ……けっこう良い。

 ステラの着ぐるみは高級仕様で、着心地ともふ度がアップしているのだ。


「では、行ってまいります!」

「ああ……気を付けてな」

「はい……!」


 ステラぴよは俺から離れ、もっふもふと歩いていく。


 歩き方はコカトリスそっくりだな。

 ちょっと左右に揺れながら歩くのがコツらしい。


 ステラが家を出たあと、俺はあくびをひとつする。

 今日、実は休日なのだ。


「……もう一度、寝るか……」


 お見合い会には俺は出ないからな。

 あとで報告を聞くだけだ。


 窓の外ではちょうどコカトリス達が散歩している。


「ぴよー」(るんるんー)

「ぴよよー」(らんらんー)


 その後ろにステラぴよがいた。


「ぴよー」(てくてくー)


 なりきっているな……。

 着ぐるみを着るときも、すごーく楽しそうだったし。


 楽しみがあるのはいいことだ。

全てがぴよになってゆく……だぞ(。•̀ᴗ-)✧


お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ───さぁ、〝ぴよ〟になろう(荒ぶる神のポーズ)
[一言] 彼氏のぴよ姿って彼女にはどう見えるんでしょう?やっぱかわいいのかな?
[一言] 種族の壁も着ぐるみ着用のハードルも意外に低い なにげに置いてけぼりの形になったザンザスのギルマスの明日はどっちだ ぴよっぴ
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