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356/834

356.春は目前

 轟音が響いてから、ウッドの大声が聞こえてきた。


「ウゴウゴ、終わったよー!」

「わかった!」


 俺達はささっと通路から広場へと飛び込む。


 そこには横倒しになった巨大パズルマッシュルームがあった。さらにそれに乗って、すでにつまんでいるコカトリス達の姿が見える。


「ぴっ……ぴよっぴ」(むむっ……この辺、まろやかじゃない)


 一体のコカトリスが羽で指し示す。そうすると二体が羽でぺちぺち、脚でふみふみしてる。


「ぴよぴよ」(ぺちぺち……)

「ぴよー」(ふみふみー)


 ……すっかりおやつタイムだな。

 元気いっぱい、怪我はないようだ。


「ウゴ、こっちの小さいパズルマッシュルームも倒した!」


 腕を振るウッドが巨大パズルマッシュルームをめくる。

 そうして、下敷きになったパズルマッシュルームを引っ張り出していた。


 こちらも動かないな。ちゃんと倒してるようだ。

 俺も腕を振りながらウッドに近寄る。


「大丈夫か、ウッド?」

「ウゴウゴ! タックルしたら終わった!」

「良かったです。こういう相手には思い切り突撃するほうが、いいこともありますからね……!」


 うんうんとステラが頷く。

 ステラが言うと説得力があるな……。


 続々と冒険者達も広場に展開していく。

 遅れてブラウンも入ってきた。


「にゃーん。パズルマッシュルームが大量にゃん。あとは……にゃん」


 くむくむとブラウンが目を閉じてひげを動かす。

 ニャフ族も感覚は鋭い。


「あっちこっちにキノコがありますにゃん」

「ふむ、サンプルに持って帰ろうか」


 問題は巨大パズルマッシュルームの処置だ。

 食べ切るのはさすがに無理だろう。


 切って、持っていける分だけ積んで帰るか……。


 そんなことを考えていると、ウッドが俺とステラを呼んでいた。


「ウゴウゴ! これ、とってもいい色!」


 見るとウッドが何かを掲げている。つぶらな瞳がきらきらと輝いていた。


 それで俺はピンと来た。


「ウッド、もしかして――見つけたのか!?」

「ウゴ、見て見て!」


 俺がそう言うと、ウッドは腕を下げて『ソレ』をよく見えるようにしてくれた。


 ウッドの手の中に、真紅のベリーマッシュルームがある。ステラもそれを覗き込む。


「わぁ、綺麗な色ですね……!」

「完全な紅色だな。これなら……」

「ウゴウゴ、行けるかも!」

「よかったな……!」


 ぽむぽむとウッドの体を撫でると、ウッドも嬉しそうに頷いている。


「ウゴ、ありがとう……! 皆のおかげ!」

「これでいよいよ、巨大草だんごを作るんですね……!」


 ステラも心なしか、少し涙ぐんでいた。

 最初にベリーマッシュルームを求めてから、結構経っている。

 俺も感慨深い。


「ウゴ……作って、プレゼントする!」

「ああ、頑張るんだぞ……!」


 俺の言葉にウッドは力強く頷いた。


「ウゴ! 油断せずに、こねこねする!」


 こうして巨大草だんごの材料もゲットできた。


 村ではレイアがお見合い会の準備を進めているだろう。


 地下広場の中はひんやりしている。

 しかし、もう三月も半ばだ。

 もう春は目前だった。

色々と進んだんだぞ。そろそろ……なんだぞ。


お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 忘れかけてた巨大草だんご問題解決へ ※また忘れてましたスミマセン
[一言] 更新有り難う御座います。 そう言えばキノコが主目的でしたね?
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