表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

320/834

320.変幻の虎に勝利せし者◆

 虎との戦いが終わり、ステラはマルコシアスとディアの元へと駆け寄る。


「お疲れ様でした、頑張りましたね!」


 ステラはディアをたかいたかーいする。

 そうしながらステラはディアの体をチェックした。


 魔力、体力――ともに消耗してはなさそうだ。

 ぴよぴよと満足そうにしている。


「ぴよー! がんばれたぴよ?」

「ええ、虎を引っ張り出してくれて――応援も力になりました!」

「やったぴよー!」


 ステラが足元を見ると、そこにはちまっとした子犬姿のマルコシアスがいた。

 ……もう少女姿はやめたらしい。


「我にとって、二足歩行は負けフラグだぞ」

「さらっととんでもない台詞を……。でもマルちゃんもありがとうです……!」

「どういたしましてだぞ! ……意外と体力使うんだぞ、この歌」

「全力で歌ってくれましたもんね」


 魔力を同調させながら歌ったのだ。そんなに簡単なことではない。


 ステラは頑張ってくれたマルコシアスを抱き上げて、頬すりする。


「でも背中を押されました。ありがとうございます……!」


 屏風の後ろでは、ナナがぶっ倒れて荒い息を吐いていた。ドライバーがころりと床に転がる。


「はー……終わった!」

「お疲れ様だ……。これで大丈夫なんだよな?」

「まぁね。でも万が一もあるし、他の技術者にも見てもらったほうがいいけど」


 自分には絶対の自信があるが、それと安全性を担保するのは別である。


「後は回路図を書き写して研究したいな。この屏風の術式はまさに魔法具の極みだよ」

「それはわからなくもないが」

「屏風に術式を書き込むだけじゃ、あんな虎は生み出せない。絵の具も希少素材を使って多層的に構築しているんだ。小城くらいの価値だって? とんでもない……!」


 腕だけを上げてぱたぱたと振る。


「もしあの屏風と同じものが作れて虎をコントロールできるなら……この大聖堂より価値があるよ」

「だが、無理なんだろう?」


 ホールドは確信を込めて言った。


「無理だね。少しはわかるんだけど……まず絵の具の素材が特定できないのがいくつもある。魔物由来だと再現できない可能性はかなり高い」

「少しわかる素材もとんでもない代物だな。たとえば……白模様は老白鹿の角、竹の一部はエメラルドマンティスの鎌を使っている。今だと、ウチの国から万単位の兵を出せば手に入るかもな」


 つまりこの絵を再現するのは現実的には不可能ということだ。だからこそ価値もあるわけだが。


「……何はともあれ、助かった。感謝する……」


 そう言うと、ホールドもばったりと仰向けに床へ倒れた。苦笑しながら天井を仰ぐ。


「こんなに集中して魔力を使ったのは、学生時代以来だ。しばらく休む……」

「ポーションならここにあるよ。ヒールベリーの村特製のが」

「悪いな……だが、飲む気力もない」


 こうして虎との戦いは終わった。


 ホールドは破産の危機から救われ、ナナは新しい研究対象として術式を手に入れたのだ。


 そしてステラがこの戦いで得たのは――。


(……新しい称号。これはエルト様に相談ですね……)


【称号】

変幻の虎に勝利せし者


 さらにステラはマルコシアスをふにふにと抱える。

 ほんのちょっとした違和感があった。

 なんかマルコシアスの体重が重くなっているような気がする。


「少し大きくなりました?」

「だぞ……? 大きくなったんだぞ?」

「やっぱり……きのせいじゃないぴよ!」


 ディアも同じことを思っていたらしい。

 ぴよよーとマルコシアスの頭を高速で撫で撫でする。


「マルちゃんもせいちょうしてるぴよよー!」

「どうやらそうみたいですね……!」

「そうなんだぞ……!? だとしたらきっと、主と母上のおかげなんだぞー!」

第九章『きたぴよ、はなぴよ。地獄の虎を迎え撃つ』

これにて完結だぞ!


第十章『恋と水に春近し』

明日から始めますだぞ!


もしよかったら、書籍版もぜひお買い上げくださいなんたぞ!


『読者の皆様へ』


作品を読んで面白いと思われた方、下にスクロールするとポイント評価の項目がございます。


広告欄の下で囲まれたところにクリックできる所がございます。


ぜひともそこから評価のほど、よろしくお願いいたします!


またお気に入り登録もぜひともお願いいたします!

感想やレビューもひとつひとつ、力になります!


書くモチベーションに繋がります!

よろしくお願いいたします!


またお気に入り登録もぜひともお願いいたします!

感想やレビューもひとつひとつ、力になります!


書くモチベーションに繋がります!

よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます‼ 燕よりアッサリ討伐された虎は、ツタが巻き付いた巣から遠く離れると弱るのか…(個人的感想) [一言] マルちゃん、ゆっくりでも成長(レベルアップ?)して良かった…
[一言] 更新有り難う御座います。 ……万単位の精鋭<<<(越えられない壁)<<<英雄 「……悲しいけどコレ現実なのよね……」(スラッガー(大嘘)) そして、虎を操り荷運びに使う[”トラ”ンスポー…
[一言] 入手困難な材料を集められそうな人はいますが 集めには行かないでしょうね 次章、鯉ではないので気をつけます ジャイアントなチーム、負けないなあ……貯金14
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ