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【書籍化・コミカライズ】植物魔法チートでのんびり領主生活始めます~前世の知識を駆使して農業したら、逆転人生始まった件~   作者: りょうと かえ


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272/876

272.地下広場ふたたび

「ウゴ、最後のペア……!」


 ウッドが青色のパズルマッシュルームを掴み上げる。これが最後の一組だな。


「✕○△〜!」


 パズルマッシュルームはじたばたするが、ウッドの力からはとても逃げられない。


「ぴよー!」(こっちー!)

「ぴよっぴー!」(いっくよー!)


 コカトリスも青のパズルマッシュルームを取り押さえて、ぐいっと持ち上げる。


「ウゴ、せっーの!」

「「ぴっよ〜!」」(そーい!)


 ウッドとコカトリスが青のパズルマッシュルームを投げ合う。

 それらは空中で衝突し――チカっと魔力の光が閃いた。


「○✕△ー!」


 ぼてっとパズルマッシュルームが落下し、動かなくなる。


 よし……!

 見回しても、もう動いているパズルマッシュルームは残ってない。


「お疲れ様、どうやら終わったようだな!」


 俺が言うと、どっと皆が歓声を上げた。


「よっしゃー!」

「終わったでござる!」


 アナリアとイスカミナも駆け寄り、怪我人がいないことを確かめた。


「大丈夫そうですね……!」

「無傷ってやつもぐ!」


 ウッドも腕を振り上げて喜ぶ。


「ウゴ、やったー!」

「ああ、よく頑張ったな!」

「ウゴウゴ、とうさんもお疲れ様! これで進めるね!」


 そんな風に言われると、少しうるっと来る。


 フラワーアーチャーは防衛戦みたいなものだった。

 地下通路は見つけたけど、守りだったのだ。

 対してこれは息子のためでもあるし、先に進むためでもある。


 そう考えると――ちょっと感じ方も違うのだ。

 しかしいつまでも感慨には浸っていられないな。


 俺は気を取り直して、まずは奥の穴に近付いていく。


「さて……奥のほうはどうだ? パズルマッシュルームは止まっているか?」


 盾を詰め込んでいるので、もう奥の穴は見えない。


「ええ、この障害物は微動だにしてやせんや」


 ハットリが詰め込んだ盾に顔をくっつけながら、


「……奥にも気配もないでござる。何かしている様子はござらん」

「とりあえず、諦めたのか?」

「器用な連中じゃないですからね。引き返したんだと思いますぜ」

「ザンザスのダンジョンでも反応は鈍いでござるからな」


 ふむふむとアラサー冒険者が頷く。


「こうすりゃ追い返せた――と言っても、魔法なしじゃこの戦術はできねぇか。エルト様あってのモノですぜ」

「うむ。こんなに障害物を持って移動はできぬでござるからな」


 良かった。俺の存在も役には立ったようだな。


「しかし警戒は必要だな。向こうに何があるかわからないし……」


 俺の言葉にアナリアが同意する。


「ここなら拠点も作れそうですし、交代で見張りをするのがよろしいかと」

「水質検査はお任せもぐ!」


 てっててーとイスカミナが地下を流れる小川に小走りしていく。そこは任せても良さそうだな。


「ふむ……」


 そしてもうひとつ――この地下広場にも坂があった。戦いがあったので、考えるのは後回しにしていたが。


 何から何まで村の下にある地下広場とそっくりである。


 アナリアも坂には気が付いていたようだな。見上げながら俺に言う。


「行かれますか、エルト様」

「そうだな、同じ構造なら――高さ的にも地上のはずだ」


 坂の上は天井に近くなっているが、そこに光は差し込んでいない。

 しかし単に埋まっているだけなら、それを除去すれば地上へ出られるはずである。


「この真上となると……どの辺りになるんだろうな?」

「もぐ! ザンザスへの道沿いもぐ!」


 イスカミナが手を振って答える。


「周囲には何もないはずですもぐ! 地質も大丈夫ですもぐ!」

「そうか……。なら、確かめてみよう。」


 皆に休憩と警戒の指示を出す。それから俺はウッドとともに坂を登っていった。


 やはり光る苔は少なめだな。

 やや暗いが、歩けないほどではない。


 コカトリスはパズルマッシュルームをもにゅもにゅしていた。


「ぴよぴよ……」(もにゅもにゅ……)

「ぴよよ?」(たぷへったかなー?)

「ぴよよ……ぴよ。ぴよぴよ」(もにゅ……まだだね。もにゅもにゅ)


 ……たまにお腹をつまんでいるな。

 脂肪が気になるお年頃なのだろうか……。俺もいずれ気にしないといけないだろうが。


「ウゴ、村の地下広場と同じだね」

「そう思うよな……。坂の上から見ても、そんな感じだ」


 足を止めて、地下広場を見渡す。


 こうするとよりよくわかる。横の出入り口と流れる小川、坂……瓜二つだ。


「ウゴ……同じ人が作った?」

「恐らくそうだろうな。何から何まで同じように見える。違いは苔の密度とパズルマッシュルームの存在――そして魔力の濃さだな」


 ザンザスに近いこちらの広場のほうが、魔力を感じる。これは構造というよりは、地理的な話かもしれないが。


「ウゴ、坂の大きさと高さも同じだね」


 ウッドが確信を込めて言う。


「すごいな、わかるのか?」

「ウゴ……うん、かあさんに習った。歩数と歩幅を意識するんだって。マッピングの一種って言ってた」

「一流の冒険者だな」


 俺はウッドの体を撫でる。それをウッドは心地よさそうに受け止めていた。


 そして坂の頂上に到着し、真上を見上げる。

 高さはかなりなくなっている。ウッドだとギリギリだな……。


 その奥を、じっーっと見つめる。


「どうだ?」

「ウゴ、ホコリまみれだけど……あった!」


 ウッドが天井の一角を指差す。まばらな苔のところに目をこらすと、確かに古ぼけた木の扉がある。


「でかした、ウッド!」

「ウゴウゴ、どういたしまして!」


 あっちの広場のときと違い、木の根とかはないな。

 扉が開けば地上なわけだ。

 まぁ、でも土があれば植物魔法でどうにかできるだろうが。


「よし……開けてみてくれ」

「ウゴ、ラジャー!」


 ウッドが天井の扉に手をかけるのを、ドキドキしながら見守る。


 ぐっと力を入れたウッドが腕を引くと――。


 パカッ!


 扉は造作もなく開け放たれる。

 そこから光がうっすらと差し込んできた。


「ウゴ、すんなり開いた!」

「ああ、そうだな……! よし、ちょっと足場を作って地上へ――」


 と、そこで地上から声がした。


「んにゃー!? 地面に穴にゃん!」

「こ、これは……」


 そしてほどなく、天井の穴からひょっこりと声の主が顔を見せる。


 お互いにびっくりである。


「エルト様にゃん!?」

「ブラウン!?」


 そこには驚いた顔のブラウンがいるのであった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] モンスターが少なかったら 雨でもヒールベリー村に行ける 便利な輸送路と化すな
[良い点] 突然のニャフ族かわいい…! そして、ウッドが優秀…!! [一言] 体調いかがですか? ごむりせずご自愛ください。
[一言] 長い坂を登りきるとそこには猫がいたにゃー もにゅもにゅぴよぴよ
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