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【書籍化・コミカライズ】植物魔法チートでのんびり領主生活始めます~前世の知識を駆使して農業したら、逆転人生始まった件~   作者: りょうと かえ


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232.得手不得手

 俺とステラが家に戻ってくると、ウッドは大樹の塔へ出掛けていた。

 向こうも作品作りがあるからな。

 そろそろ本番に近い仕様で作り始めるらしい。


 リビングでは、仰向けになった子犬姿のマルコシアスとディアがいる。

 お腹丸出しのマルコシアス。そして、ディアはマルコシアスの白いお腹をもみもみしている。


「おかえりぴよー」

「おかえりなんだぞ」

「ただいまです……!」

「ただいま。……何をしてるんだ?」


 ほわほわ羽でディアがもみもみ。

 マルコシアスは気持ち良さそうにだらーんとしている。


「こねこねぴよー。こうすると、けなみのしっとりがアップするぴよ」

「マッサージなんだぞ」

「なるほど……」

「もむとよくなるぴよねー」


 マルコシアスのお腹は漬物か。

 いや、草だんごか。


「ぴよ。きょうはここまでぴよー」


 もみもみをやめたディアが、マルコシアスのお腹に頭を載せる。枕代わりみたいだな。


「しっとり、いいにおいぴよねー」

「主のおかげなんだぞ。ありがとうだぞ」

「どういたしましてぴよー」


 すりすり。ディアがマルコシアスのお腹に頬ずりする。


「さて、ユニフォームを作りましょうか……!」


 ステラが持ち帰った道具類をテーブルの上に置く。

 俺も持っていた材料類をテーブルに載せる。


「そうだな、ガシガシ作っていこう」

「ぴよ。おようふくづくりのあれこれだったぴよねー」

「ああ、形にしていかないといけないからな……」


 とりあえずは型紙か。

 型紙は服の設計図だな。服の各パーツを原寸大で描いていく。


 これを布に複写して、その通りに切り、縫い合わせることで服が完成する。


 大きな布のマルデコットンをどういうふうに切るか、その目印というわけだ。


「まず型紙を作らなきゃだな」


 その道具類もちゃんとバッグには入っている。

 定規や型紙用の大きな紙だな。


「では型紙を描いていきますか……」

「ん……? 採寸はしなくてもいいんだっけ?」


 型紙は服の設計図。着る人のサイズがわからないと各パーツの切るべき大きさが出ないはず。


「……エルト様のサイズなら、おおよそわかります。ユニフォームはゆったりしてますし」


 目を若干そらしながら、ステラが答える。


「それって……」

「母上なら目測と日頃のすきんしっぷで描けるかもなんだぞ」

「うう、マルちゃん……改めて言わなくて大丈夫です……!」


 ……なるほど。いきなり惚気けてきたな。

 ステラも赤くなってるじゃないか。自分で言って、恥ずかしくなったな。


「ま、まぁ……俺に型紙は描けないからな。任せる……」


 うう、顔がちょっと熱い。


「なかよしぴよー」


 ふにふにとマルコシアスのお腹の上で、ディアが呑気にしてるのであった。


 ◇


 型紙作製はさくさく終わった。

 冒険者に服作りスキルは必須らしい。


「冒険者は長時間の野営もありますからね。もちろん魔物との戦いで服が破れることもありますし」


 出来上がった型紙を眺めながら、ステラが言う。

 描いている内に恥ずかしさは消えたらしい。


 ぱっと集中するときは集中する。この辺りはステラの持ち味だな。


「……しかし凄いな、あっという間に出来た」


 定規と筆を握ると、猛烈な勢いで一気に書き上げたのだ。


「おふねもだけど、かあさまってきようぴよよねー」

「決まった手順で手を動かせばいいものは、あまり苦じゃないですね」

「才能なんだぞ」

「そうだな、料理もその範疇ということか……」


 今の時代の読み書きもかなりのスピードで習得したし、本当に得意なんだろうな。


「さて、これを複写して……と」


 型紙の通りの寸法をマルデコットンに写していく。

 これもサクサクっと終わったな。


「あのアラサー冒険者も、こういうの得意なんだろうか……」


 ふと俺が思った疑問にステラが答える。


「複雑な服は無理でしょうが、自分の服は作れるはずです……。前にザンザスに行ったとき、レイアが私の作ったカリキュラムは残していると言っていたので」

「しっかりしているな……」


 まぁ、地球でも大航海時代や南極探検とかは同じことを考えていたんだろうが。

 自分で必要なものは自分で賄うというのは、なかなか難しいものだ。


「じゃあ、冒険者は皆ぬいぐるみを作れるんだな……」

「作れませんよ……!? さすがに皆さん、レイアほどの裁縫スキルはないですからね……!」

「冗談だ、ステラ」


 やっぱりレイアは特別か。

 まぁ、日によってはコカトリスグッズ業者みたいな生活をしてるしな。


 そしていよいよ、実際にマルデコットンを裁断することになった。


「えーと切るのは……確か、このレイアから借りた魔法ハサミでないと駄目、か」

「ええ、魔力を流しながらじゃないとうまく切れないとか……」


 ちょこんと小さな布切りハサミ。

 刃の付け根に丸い石が取り付けられている。


 この石に魔力を流すと色々と調整されて切れるわけだな。

 魔力がないと加工が、というわけだ。


「私もこれは初めてですね……っと」


 ステラがハサミをすちゃっと持つ。

 様になってる。


「……あれ?」

「どうしたんだ?」

「魔力が流れにくくて……えい!」


 ピカッ!


 いきなりハサミに付いている丸い石が光った。

 まぶし!


「ぴよ!?」


 光はすぐに消える。


「な、なにぴよ……?」

「……すみません。魔力の調整がうまく行かないみたいで……私からの魔力が多過ぎたみたいです」

「過剰に魔力が流れたのか……」

「どうも石や剣や鎧の類とは相性が良くなくて……。まさかハサミまで相性悪いとは」


 ステラの逸話に、借りていた聖剣をぽっきり折ったとかいうのもあったな。

 鉱物系と相性が悪い、そういう体質なのかもしれない。

 森と生きるエルフならあり得るのか……?


「まぁ、でも壊れてはいないみたいだし……。気にしないでくれ。俺がやろう」

「うう、すみません……」


 ステラからハサミを受け取る。

 小振りで子どもが使うようなサイズだな。

 ちょっと魔力を流してみよう。


 ぽっ……とハサミの丸い石が淡い黄色の光を放つ。

 ふむ、うまくいったな。


 これでマルデコットンが切れるはずだ。


「大丈夫そうだな……」

「ひかったぴよ!」

「おおっ!」


 ぱちぱちぱち。


 ステラが拍手する。


 いや……多分だけど、魔力があればそんなに難しくはないんだよな。

 このハサミはきっと、貴族の子ども用だ。ミニサイズとはいえ、金貨数枚はしそうである。


 コツとしてはかなり弱く魔力を流せばいいんだが……。

 しかしステラには逆に難しいのか。


 まぁ、ときにはこういうこともある。

 むしろステラにも不得手なことがあって、ちょっとだけ微笑ましい。

 ほとんど完璧超人だからな……。


「よし、これで切ってみよう」

「はい……!」

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ステラはむっつりスケベっと
[一言] 更新有り難う御座います。 ……意外な弱点?
[一言] 仲良きことは美しきかな 相性もありそうですが 強キャラに弱キャラ用アイテムの扱いは難しいっぽい? ……この理屈なら普通の裁ちバサミでもイケた気が ぬいぐるみを縫うアラサー冒険者を想像して…
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