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【書籍化・コミカライズ】植物魔法チートでのんびり領主生活始めます~前世の知識を駆使して農業したら、逆転人生始まった件~   作者: りょうと かえ


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219/875

219.マルデ生物の可能性

 この世界の生き物であれば、何かを食べて生きている。俺が本で読んだ限りではそうだ。


 コカトリスやドラゴンといった、強靭な種族も例外ではない。単に効率が良いだけでエネルギーはちゃんと摂取している。


 俺の考えにステラは面白そうに頷く。


「レインボーフィッシュの鱗を……? 確かにありえますね」

「俺達でもぱりぱりと食べられるからな。餌にしている生き物がいても不思議ではない。まぁ、可能性の一つだが」

「あれ? でもそうするとレインボーフィッシュは何を食べているのでしょう?」


 ステラが首を傾げる。

 もし湖にマルデ貝以外がいないとすると……。


「湖の貝を食べているんじゃないか? レインボーフィッシュよりも多くないと駄目だが……」

「ああ、なるほど! その通りですね!」


 ぽむ、とステラは手を打つ。


「色々と実験をしてみたいな。仮説が正しいかもしれん」


 そのためには、貝をまたとって来てもらう必要はあるけれど。

 しかしうまく行けば養殖の可能性もある。

 農業以外でも収入を増やしていくのは大事だろうし。


 やっぱりボートを作ってもらって良かったな。

 行動範囲が広がると、新しい発見がある。

 拠点も作ったしこれから色々と調べがいがありそうだ。


 そんなことを考えていると、ステラが俺を見つめていることに気付く。

 なんだか視線が熱い……気がする。


「エルト様って、学者先生みたいですよね」

「んむ? ……そうか?」


 そう言うと、ステラがずいっと俺に顔を近付ける。


「ええ、さらに惚れちゃいました」

「ぶっ」

「んふふー」


 ステラが顔を引っ込める。

 うう、不意打ちだ。頬が熱い。


「それを言うなら……さっき、湖を歩くステラは綺麗だったぞ」

「……ふぇ」


 俺がぼそっと言うと、ステラは一気に顔が真っ赤になった。


「うん。神秘的で美しさがぐっと増してたからな」

「〜〜! べ、別にいいです。私のことは!」


 思えばこうやって素直な感想を伝えたのは、初めてかもしれない。

 デートっぽいことはあんまりしてないからな。


 でも湖を歩くステラが綺麗だったのは本当だ。

 まぁ、水の上を歩くこと自体がないからな。

 俺も新鮮だった。


 恥ずかしいけど、先に仕掛けてきたのはステラの方だからな。


「こほん。俺の方こそ、より好きになったよ」

「…………!」


 ぷしゅーと真っ赤になったステラが口をぎゅっとつぐみ――うつむいた。


「ふぇ……やりますね……」


 そのままモゴモゴと言うステラ。

 あれ? 思ったほどの反撃はないな。


 こーいうのをやり返されるのには慣れてないのか。

 いや、俺も割と適当に言っているだけだが。


 というわけで、ステラのあごをくいっと上向かせる。


「ふぁっ!? あぅ、私の負けですから……!」


 耐えきれなくなったステラが宣言する。

 自分がやられると駄目なのか、ステラ……。


「……とうさまとかあさま、なにしてるぴよ……?」


 すごく眠そうな声で、ディアがマルコシアスに聞く。


 あっ、まだ起きていたのか。

 でもディアの目は半分閉じて、マルコシアスにもたれかかっていた。


「愛だぞ」

「ミックスジュースぴよか……。さっき、たくさんジュースのんだぴよね……」


 謎が解けたのか、ディアはそのまま寝息を立て始めた。


「すやー……ぴよー……。すやー……ぴよよー……」


 ふむ。眠ったようだな……。

 マルコシアスも目を閉じてだらんとしている。


 仰向けにお腹を出したマルコシアスにディアが重なっている。

 かわいい。


 そしてステラが紅くなりながら意気込んでいた。


「つ、次は負けませんからね……!」


 ◇


 翌日。

 俺は冒険者ギルドの執務室にアナリアとナールを呼び寄せた。

 用件はもちろんマルデ貝の件だ。


 ……本当はレイアとも話したかったが、彼女は今ザンザスの方にいる。


「今日もレイアはザンザスか……。水運の話が向こうで長引いているようだな」

「にゃ。どうやら色々と根詰めて議論しているようですにゃ」

「ふむ……規模が大きくなると調整も大変だな」


 まぁ、急ぐ話ではない。

 俺単体で動くわけにもいかないし、ゆっくりと待つとしよう。


 俺はバッグに入れて持って来たマルデホタテ貝の貝殻を取り出す。

 アナリアはそれを一目見て、


「なるほど……。確かにマルデホタテ貝ですね」

「マルデ生物の中には薬効のあるものもいますにゃ」

「そうみたいだな。本に書いてあった」


 薬としてはポーション類が最も効果があるが、調合が必要な上、材料も手に入りづらい。

 マルデ生物の薬はそれほど劇的な効果はない代わりに、調合は簡単らしい。


「地方によってはヒールベリーがあまりに少なく、マルデ生物の薬でカバーしているところもかなりありますので……。効果はポーション類に比べると気休め程度のものが多いですが」

「にゃ。でもその分、安いにゃ」


 ふむふむ。

 なるほど……ポーション類が処方薬としたら、マルデ生物の薬は市販薬みたいなものかな。


 比較して効果が少ないとはいえ、それは需要がないことを意味しない。

 手軽に副作用なく使えるなら、使いたいという人は大勢いる。

 ちょっとした風邪の時の解熱剤は心強いものだ。


「アナリアは高等学院でマルデ生物についても習っているのか?」

「はい、薬師の試験では必須です。この村にいる薬師なら扱えるかと」

「それは朗報だな。……だが、これもあまり急ぐ必要はない。あまり急激に広げすぎても大変だしな。それと貝がどれだけ存在するかも気になる」


 薬草等は地上に分布しているので、ある程度の数は計算でわかっている。

 しかしマルデ貝はまだ昨日見つけたばかりだ。乱獲でいなくなっては元も子もない。

 この辺りが水産資源の難しいところである。直接目視するのも手間がかかるのだ。


「さすがエルト様ですにゃ。長期的な視野をお持ちですにゃ」

「マルデ生物は餌が特殊、生態もわかっていない面がありますからね……」


 基本的にマルデ生物は養殖には適さないらしい。

 餌が特殊で、その分のお金がかかるからだ。


 なので基本は細く長く採集することになる。

 冒険者達がよく知っていたのは、マルデ生物の採集も仕事だからだな。


 まぁ、最終的な餌は草だんごがあるが……。

 しかし草だんごの価値に見合うかどうかは、よく検討しないといけない。


 と、それからマルデ生物の意見を交わしていく。

 食用、貝殻の利用、他のところの状況など。


 やはり可能性はありそうだが、すぐにリソースをフル投入するほどではないな。

 でもうまくすれば大きな産業になりそうで、それは大いに楽しみだ。


 と、ひとしきり意見交換したところで執務室がノックされた。


 コンコン。


「ん? どうぞ」


 声を掛けるとブラウンが焦りながら入ってくる。


「にゃん、失礼しますにゃん。エルト様にお客様ですにゃん!」

「来客……?」


 しかしブラウンが慌てるほどの相手とは珍しい。

 格上の商人相手でも物怖じしないのに。

 よほどの……もしかして貴族とか?


「オードリー様がお一人で来られましたにゃん!」

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……ステラさんの照れ隠しは危険? (……もぅ、エルト様ったら♪}( *´∀`)つΣ))xДx)
[一言] おとんおかんが仲良ししてるところに子供乱入するコント マル犬が地味に大人 自然と産業 取り過ぎて枯らすのは当然ダメ ご利用は計画的に 養殖できても採算の問題が やるだけなら目処は立ちそうで…
[一言] こうこうやきうちゅうし・・・
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