48話(最終話):休息と仕事と理想の老後
すると、手島颯太が、今迄、多くの売れっ子作家が、超多忙な生活で折角の才能を短期間で枯渇させたり、身体を壊してしまったりという姿を見ていたので、仕事のする時期と、その後のオフの時間を設定して、長続きさせようと考えた。そこで10作品を売り終えたところで5ヶ月、完全にオフしましょうと言い、2007年4月から8月の5ヶ月は、全く、仕事せずに、国内旅行をしたり
、海外旅行をして、リフレッシュに専念した。
9月に、再度、今度は、「女探偵、清水智子シリーズ」という,いろんなタイプの事件と、その解決までの物語を構想について、伊東徹子と手島颯太が,マンツーマンで、話合い、ベースの10個の物語を作った。その後、事件の背景、時代背景、時間の起こった場所、事件関係者の年齢、性別、性格、事件発生の場所、日本各地の観光地で名前を変え、それらを全てエクセルを使い箇条書きしていき、右のフィールドに文章80文字分をとり、アイディアを書き込んで,膨らましていく方法で、膨大な量の小説のネタを作成した。
それを4ケ月で、次々と小説を書き上げ、2ヶ月完全休業と言うペースで、継続し始めた。2008年、2009年、2010年と進んで行く頃には、文学部の学生、食えない同人誌の若者、編集者崩れなど40人のアルバイトを雇い、手島颯太が東京都内で家賃の安い、古いマンションの大きな部屋を借りて、編集、製本の依頼、書店まわり、ネット小説化などを手がけた。そして、伊東夫妻は、得た利益を手島颯太の会社に投資して、配当金を10%もらう様にして、2010年には、目標の100作品を市場に出し終わった。
手島颯太は、仕事のオンとオフを完全にコントロールして優雅な生活を始めた。2012年には、124冊の小説を文庫本、または、ネット有料小説として販売して、大きな利益をあげた。日本では、伊豆のヨットハーバーに、手島颯太の会社・手島商会所有の1億円以上もする12人乗りのカラマラン・クルーザーヨットを買って、お世話になった人達へのリクリエーションに使った。 そして、伊豆から橫浜、房総半島、紀伊半島へのクルージングを企画して一生懸命働き、一生懸命に人生を楽しむという、伊東夫妻の理想の生活が2018年に完成した。
そして、2018年4月18日の春の日、伊豆を出発して、三浦半島の逗子に向かい、茅ヶ崎沖の烏帽子岩の近くを手島颯太が運転するクルーザーヨットで航行しているときに、突然、背後の富士山に朝日が上がり、眩しいばかりの太陽が、伊東徹子と伊東吾郎が寝そべっているヨットのデッキチェアーに差し込み、伊東夫妻の今迄の人生の苦労をねぎらうかの様の微笑んでいた。
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