28話:沖縄での捜査と旅行1
1987年新年早々に、初詣でに出かけて、家内安全、健康祈願、商売繁盛をお願いしてきた。伊東徹子に3月12日から、7日間の沖縄県警から、捜査の手伝いの依頼があり、出かけて行った。3月12日、早朝、自宅から、羽田にモノレールで行き、10時発の飛行機で12時半に那覇空港に到着した。その足で、タクシーで30分の沖縄県警本部に到着し、本部長に挨拶して、早速、担当の刑事と仲間たちに、状況を聞いた。それによると、38歳の女性が、沖縄市に郊外のアパートで、頭を暖気のような物で殴られ、惨殺死体で見つかった。ドアの鍵は開いていて、室内を物色した後は見られず、恨みによる、犯行の可能性が強いと、思われていた。
被害者は、宮里麗美、以前、関西のタレント養成所を卒業して、キャバレーで、洋楽を中心に歌い、最近、人気が出て、北谷の一流ホテルで歌謡ショーをしたり、那覇の高級クラブで歌ったりして、金回りが良かった様だ。その後、容疑者として名前が挙がったのが4人で、1人は、那覇のキャバレーのギタリストで、以前、宮里麗美と同棲していたが、金使いが荒いので、宮里麗美が出ていった。しかし、金の無心をされて困っていると、言われていた男40歳。2人目が那覇の開業医で宮里麗美が若い頃に金目当てで付き合っていた男だった。
傲慢で、暴力を振るうので、彼の借りてくれたマンションから逃亡したという男、42歳、3人目が、那覇のキャバレーで裏っていた下積み時代、宮里麗美の美貌に一目惚れして、仕事で営業マンとして、稼いだ金を宮里のショーを見るために使ったと言い、一途に、愛したが、宮里の方が、彼に、飽きて、別れた、38歳男性。人目が、那覇の富豪で、大きなキャバレーを6件持つ、68歳、独身の金満紳士、宮里が、18歳の頃から、大金を払って呼び出して、高級ホテルで一夜を共にした、男で、宮里が自分で稼げるようになり、連絡が入っても忙しいとの一点張りで、会わなくなった男。県警の捜査では、1番、怪しいと睨んだのが、4番目で、ヤクザを使って、殺させたという線が一番有力だった。
2番目に怪しいとされたのが1番目のギタリストで、宮里以外にも、数人の女、ちょっかいを出して、言うことを聞かないと直ぐに、暴力を振るい、傷害事件で2度ほど、逮捕された。この話を、伊東徹子が聞いて、何か、しっくりいかないと言い、確かに犯行の理由として、なりたつかも知れないが、傷害事件にはなっても、殺すまでの、怨恨とは思えないと話した。鈍器で、頭を殴っての惨殺には、大きな怨恨がない限り、そう簡単に、犯行に及ぶとは思えないと説明した。そこで、宮里の親族、親戚、友人関係で、強い怨恨をいだく様な人物はいないかと言い、そう言う人間を、もう一度、徹底的に探す出すように助言した。
この話を聞いた刑事部長が、確かに言われることは、わかると言い、12人で、宮里麗美の身辺調査を徹底的に行い、2人の容疑者が浮かび上がった。1人は、宮里麗美の叔母で、近くで、料理屋と飲み屋、2軒経営して、宮里が関西のタレント養成所に入り、月謝を払う際に、何回も借金していたという女で、宮里麗美に貸した金を返さないと、怒っていたという。そして、人気が出始めてからは、叔母の飲み屋に来て、歌ったりすることがなくない、誰のお陰で、ここまで来たのかと、あいつは人間のくずだと、言いふらしていたようだ。