王女になるまで
まだ争いの絶えない時代。
王と王妃を亡くした王女と、王女の治める国を守るために一人の女騎士が戦っていた。
その指揮と腕前は素晴らしく、次々とやってきた侵略者は女騎士とその兵士たちによって返り討ちに遭い、平和は保たれていた。
しかし、ある夜のこと。
何者かが侵入して王女を攫ったという伝令を聞き、女騎士は急いで馬に乗って後を追いかけた、
やっと追いつき、助けようと剣に手をかけたときだった。
胸に、強い痛みが突き刺さる。
矢に射貫かれたのだとわかった瞬間に、その衝撃で体は馬から崩れ落ちた。
王女の叫び声を聞きながら、その意識は遠のいていく。
・・・ふと、目が覚めた。
そこはとても華やかで豪勢な部屋だった。
どうしてこんなところに?という困惑もあったが、もう一つの違和感に気づいた。
胸の痛みがない。
確認しようと己の体を見た彼女は、自身の着ている豪華できらびやかな服に驚愕する。
「どうしてこんな格好を?」
少しでも状況を理解したくて、彼女は部屋にあった鏡で自分を見た。
そこに映っていたのは間違いなくプリンセスの姿。
しかしそれは自分自身ではなく、
まったく知らない、別の人物の姿だった。